○細野委員
民主党の細野豪志と申します。
何となく冷ややかなムードが漂っていますので、できましたら和やかにやっていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
私、二十九歳です。本当に平和ぼけした世代とよく言われる世代でございまして、その面からいいまして、小田さんのお話というのは、実体験に基づいて、しかも強い思いをお持ちで、その中からお話をされているのを非常によく感じることができまして、きょうはお話を聞けて本当によかったなと思っております。
基本的な考え方のスタンスといたしまして、市民的な奉仕活動をもっとやっていくべきではなかったかという御提案、また武力介入というのは必ずしも効果がないんだというお話、正義の戦争はないんじゃないかというお話、その多くは私にとっても納得のできるところではあります。
ただ、良心的兵役拒否者というのが、先ほど高市先生の方からも話がありましたとおり、兵役についている方がいる中で成り立っている制度であるというのも、これもまた事実だということをやはり感じました。
したがいまして、日本が軍事を拒否するのであれば、だれかが守ってくれるという考え方をとるのか、その辺の問題がやはり自衛権のところで出てくると思うのですね。
小田先生先ほど言われましたとおり、あくまでそれは将来への展望であるというお話はよくわかったのですけれども、実際我々は政治を目の前の課題としてとらえていかなければならない。当然自衛権の問題もあります。兵役を拒否する、日本が軍事拒否国家に立つのであれば、在日米軍をどう考えるのか。その短期的な課題について小田さんが今どのように考えられているのか、具体的にありましたらお願いしたいのです。
○小田参考人
まず、日米関係をきちんとすることだと思うのですよ。軍事的なものに基本を置くような日米関係をやめることです。
さっき申し上げましたように、安保条約をやめて、日米友好平和条約をまず結ぼうじゃないか。それは政治をやっている方たちが真剣に考えていただきたいと思うのです。これがある限りアメリカの世界戦略に組み込まれてしまう、いや応なしにそうですね。前よりもはるかに強化されて組み込まれていますね。これは私が説明する必要はないと思うのです。だれがどう考えても組み込まれていますね。これからやはり出なければいけないということが一つ大きな課題としてあるんじゃないでしょうか。まずそれをやり直す。
もし、例えば軍事関係が必要だと我々が考えて、我々というのは、アメリカ側も日本側も考えるにしても、一たんあれをやめて、軍事条約という、占領政策からずっと続いているものですよ。あれはそもそも東西の冷戦構造の中でつくられたものですね。冷戦構造がもうなくなった、なくなったにもかかわらず、今度はまた別の理由を掲げてやっているということ自体がもう使い物にならなくなっていると思うんですよ。
それをもう一遍やり直すということは、日米友好平和条約をまず結ぼうじゃないか、さっき原理は申し上げました。日中平和友好条約を基本にして、まず結び直そうではないか。そして、日米関係を、軍事条約を基本にするようないびつな関係からもっとちゃんとした友好平和条約を基本にしたものに変える。その上で、もし軍事的連関が必要ならば、それはこれから話し合っていこうじゃないか。まず基本から正そうじゃないかということが一つ必要だと思うんですよ。それをしないと、中国とどうするんだとか、何とかかんとか言っているよりも、一番かなえの軽重が問われているのは日米関係でしょう。日米関係が一番基本にあるんですから、その基本のものから手をつけていったらどうかというのが私の考え方です。それは政治家諸氏の努力によってできると思うんです。
私は、別にアメリカとけんかしろとは言っていません。そんなことを言っているわけではなくて、一緒にやろうじゃないか、友好平和条約を結んで、そしてお互いに協力していこうじゃないか。今までいびつな関係ですね。軍事条約の中で、できるだけその軍事条約的側面を外していったらとかいう人もいるんですね。そんなばかなことをそもそもやめたらどうか。日米友好平和条約になって、その上で結び直すなら結び直したらどうか。そうしないと、議論が紛糾すると思うんですよ。
私は、この間、かつての国務次官補であったアーミテージという人と一時間ぐらいしゃべったんですよ。テレビにはちょっとしか撮らなかったけれども、大論争をしていたんです。そのときに、結局、これから日米関係の中で、おまえは、もっとちゃんと応分の分担をしてもっとやれというようなことを言っていましたよ。私は日米友好平和条約に変えろと言ったわけ、彼はびっくり仰天して、大論争になっちゃったんですけれども。
だから、一遍基本的なところに戻す必要があるんじゃないかな。何といっても、一番問題は日米関係ですよ。そのことが、まず基本的認識のし直しが必要だと僕は思う。日米関係が基本なんですよ。しようがないですね。だから、その日米関係が、今度は軍事条約を中心にして動いていくことはやめたらどうか。
一例を挙げますと、例えば沖縄という名前を普通のアメリカ人が知っていますか。だれも知らないですよ。私は、二年間教えたり、アメリカとのつき合いが一番長いんですよ、考えてみたら、友人も一番多いですからね。そうすると、そこの中で沖縄の名前を知っているのは軍人関係だけでしょう、海兵隊で行っていたとか、そういう連中だけですよ。そういう連中が牛耳っていくということでしょう。沖縄関係というものがわっと焦点になること自体おかしいわけです。日米関係の連関の中で動いていくはずですね。それは、まず基本的な関係をしてから一つ一つ考えていく。
だから、私のあなたへの答えというのは、まず日米関係を考えようじゃないかと。日朝をどうするんだとか、日韓がどうするとか日中だとか、すぐそうなっちゃうんですけれども、それより一番大事なことは、アメリカ軍と一緒に組んでいるんでしょう。日本の中に軍がいるんですよ、アメリカ軍がいるんです。ほかから見たらどう見えるか。それは、アメリカを敵視する国から見れば、日本は敵ですよ。私は中立でと言ったってしようがないじゃないですか。私は、そのことが一番大事じゃないかと思います。まずそれから変えてください。それはあなた方政治家の責任だ、あるいはやることだ。こういう提言はしていいんでしょう。
○細野委員
どうしても、私自身の考えとしても、自衛権の問題というのは非常に重要だなということは思っておりまして、そこの部分で、将来的な展望と短期的に我々が何をしなければならないのかというところは、かなりきちっと考えていかなければならないというふうに思います。
自衛隊についても、具体的に、今小田さんが長期的にという話がございましたけれども、短期的にどのような方策を考えているか、災害復旧というようなお話をされておりましたので、一つそれがアイデアなのかなとは思うのですが、今の段階で具体的にお考えになっていることをもう少し詳しく教えていただけませんでしょうか。
○小田参考人
残念ながら時間がなくなって、さっきみずから取り下げてしまった。この新しい法案を私たちは延々とやってきたんだけれども、新しい法案の中の骨子というのは、災害救助の問題が入っているんですよ。災害救助隊というのをちゃんとつくろうじゃないかということを私は提案しています。それは、今まで自衛隊がやっていることの中の災害救助部分を切り離して、その人たちも含めて民間のものとしてつくり直す必要があるだろうということ、これを骨子にしているんですね。
こういうことがあると思うんですよ。私は、阪神・淡路大震災の被災者として給水を受けていたんですよ。給水車が来ましたよ。三重県久居市というところの、だれも知らないような小さな都会の給水車がやってきて、私はそれで露命をつないだ。一月ぐらいそれで水を飲んでいたんですけれども、そのときに自衛隊の給水車も走っていましたよ。来たことあるんですけれども、自衛隊の給水車は兵員輸送車についてくるんです。兵員輸送車に自衛隊員が乗っていて、そのための給水車だということを一遍その給水を受けたらわかりますよ。非常にタンクも小さいし、鋼鉄製のタンクですよ。兵員輸送車のための給水車ですよ。それがたまたま我々に使われているだけのことでしょう。それなら初めからちゃんとした給水車を持った方がいいだろうというのは当然出てきますね。私は非常にリアリストですから、そっちからしゃべっているんですよ。夢みたいな話をしているわけじゃない。
そうしたら、そこを切り離してちゃんとした救済体制をつくる。例えば今、FEMA、アメリカ合衆国の救済組織でよく言う危機管理庁ですね。日本では、すぐ本末転倒をとったり、枝葉末節をとっていくんですよ。ついでに言っておきますが、FEMAの最大の役割というのは被災者に対してお金を渡すことですよ、危機管理じゃないんですよ。日本では危機管理、危機管理と言ったんですけれども、一番最初の一番大事なことは、一週間以内にお金を渡しているでしょう。例えばロサンゼルスのノースリッジの地震において、最高二万二千二百ドル渡していますよ。それがFEMAの役目ですよ。みんなを安心させる、その上の話としてやっていくんですね。ところが、日本では危機管理だけ先行する。お金の話はどこか行っちゃった。私が言うと、ああ、そんなのあるんですかとみんな言うんですよ。それでは困るでしょう。
そのFEMAの一つの役割というのは、物すごく災害救助していますね。それは、不要になった陸軍の基地なんかを使ってやっているわけです。だから、私が提案していることは、例えば自衛隊のどう考えても不要なところをその災害救助の基地にして、災害救助隊をちゃんとつくれと。それで、災害救助隊を日本国家の名前において派遣するんですよ。
さっきの私の市民的奉仕活動に絡みますけれども、台湾に地震が起こったといってみんな行くでしょう。あれはみんなボランティアですよ。日本国家としてやっていない。日本国家として災害救助隊がちゃんとでき上がって、それで自衛隊のそっちの部分を全部こっちへ持ってくる。非武装にしてしまう。それで本当の災害救助に専念する。自衛隊の基地を使えばいい。そうしてつくっていく。その人たちが日本国家の名前において派遣されていくということが非常に必要なんですよ。そうすると、日本はここは市民的奉仕活動しているでしょう。
ボランティアが肩がわりしているんですよ、我々が。そういうやり方をやめるということも含めて、やはり災害救助の問題から日本の国のあり方、安全保障とあなたはすぐ言うけれども、安全保障とは、自然災害に対する安全保障はしていないでしょう。自然災害に対する安全保障が必要なんですよ。外敵ばかり言わないで、内敵ですね。いつここに地震が起こるかわからない。そうしたら、それに対してどう対応するかということが十分でき上がっていない。そのことにもっと目をつけていただければ幸いです。
○中山会長
小田参考人に、会長として、国会法四十八条にのっとりまして、議事の進行について申し上げたいと思います。
先ほど高市早苗君からの質問に対して、きょうはその話しないという御発言がございました。そこで、高市早苗君に残りの時間十分について発言の意思があるかどうかということを確認いたしましたら、お答えがないのでもうそれはしないというお話でございましたので打ち切りになりましたが、ただいま細野君の話でこの問題について御意見が陳述されたということにつきまして、高市早苗君のこの会における発言について、発言を拒否されたといったことについて、会長として遺憾に存じておりますので、どうぞその点はひとつ原則的にお立場をお守りいただきたい、これをお願いしたいと思います。
○小田参考人
質問があったから答えただけですよ。まあ、いいです。
○細野委員
私も、余り災害の話はしないように。
私も実は、その話には持っていきませんが、阪神・淡路大震災のときに、二カ月ボランティアで現地に入ってここに携わりました。そのときも、小田さんが取り組まれていました生活再建支援法の必要性というのを非常に強く感じておりましたし、その後、生活基盤回復援護法を今やられているということもよく存じています。
人間の国というのを特に小田さんの場合は主張されているわけですけれども、例えば、憲法を見たときに、私有財産制を前提としていて、災害に対する公的支援に関しては生存権で見ていくしかないというような実情があります。私有財産制を前提としていることをもって必ずしも災害に対する公的支援の部分に対して措置ができないというふうには私は考えませんけれども、ここで一つ、例えば具体的に憲法改正というところを積極的に受け入れる余地はないのかなというのを、きょう話を伺って感じました。
といいますのは、例えばドイツの憲法を見ますと、これは最近改正されたところなんですが、庇護権につきまして、政治的に迫害されている者は庇護権を有するとはっきり書かれているのですね。まさに日本が軍事拒否国家たる、しかも奉仕活動をするんだということを国として方向性を示すのであれば、例えばこういう条文を憲法に入れていくというようなことは十分考えられると思うのです。
この辺について、特に小田さんのように市民活動をやられてきた方にとって、憲法改正というのはタブー視されてきたところではあると思うのですが、これを一歩逆から見ると、積極的に日本がそういう方向に進むのに、進むべき道の一つの選択肢ではないかというふうに私は感じているものですから、御見解を伺いたいのです。
○小田参考人
私は、今の憲法が完全なものとは少しも思っていないのですよ。ただ、理念として平和主義があるんだ、これを大事にしていこうじゃないかという話が私のさっきの話の骨子なんです。その具体的な実現というのが第九条であるんだと。それから、ないものをあるものにしようとする気概のようなものがあると。それは、九条だけじゃありません。さっき申し上げましたけれども、いろいろな条項に出てきます。そのことの精神がまずあって、そして我々が市民的奉仕活動をしていく中でいろいろな必要性が出てくると思うのです。そのときには我々が討議する。そのために憲法調査会があると思うのですね。私はこの存在を評価して、来たのですよ。
私の立場というのは、やみくもに護憲護憲と言っているわけではありません。私は、さっき申し上げましたが、もっと積極的に考えていこうじゃないか、その一環としてこういう活動もあるんだということが非常に大事だと思います。それがあなたに対する私の答えです。
それから、一つ大事なことは、イランの憲法制定会議の会議長格の人ですね。イランというのは最高指導者というのを設けまして、これはかつての天皇みたいなものでしょうね。天皇制のもとの近代国家みたいな感じがしますけれども、ホメイニの後継者がハメネイという人ですね。その兄さんが憲法制定会議をずっと牛耳ってきた人なんですよ。たまたま私は会う機会があってしゃべっていると、彼が非常に自慢していることは、つくっては、我々は選挙ばかりしているんだと。国民投票ですね。例えば、二十一年間彼は政権を持っているのですけれども、二十三回国民投票をしてきたと。憲法をつくるとすぐ国民投票をする、そういう形式をしてきたんだということで、国民が参加しているんだということを強調しようとしていたのですね。
そうやって、我々が憲法調査会でやるいろいろな過程が、国民投票までいかないにしても、そういうものとして市民の意見というのが絶えず反応していくようなやり方というか、そういう組織をつくっていく必要があるでしょうね。それも一つ考えていただければいいと思う。
〔会長退席、鹿野会長代理着席〕
○細野委員
憲法改正に関して必ずしもタブーではないという発言と受け取りまして、私は、非常に前向きな考え方ですばらしいというふうに感じております。
そのほかにも、環境権に関しても、十三条の幸福追求権もしくは二十五条で担保されているということを言われているわけですけれども、実際これだけ環境が破壊された中で、やはり積極的に政府として措置をしていく必要があるのではないか。ドイツはその点に対してもさまざまな、きちっと自然的な生活基盤を保護するという条文を置いております。
ちょっと話はずれるのですが、もしお答えいただけるようであればということで結構ですので、小田さんの中で、九条以外の部分で、この部分は変える必要性があるのではないかというようなアイデアがもしございましたら、お教えいただけますでしょうか。
○小田参考人
今のところありません。これからの進展の中で、いろいろな討議の中で出てくると思います。
しかし、まず第一に、この憲法を実現していこうじゃないかというのが私の考え方なんです。今すぐこちょこちょといじったり、ほかの国がやっていることだなんていってすぐ変えたりするのじゃなくて、これは実現していないでしょう。健康にして何とかの生活にしても、何もやっていないですよ。判決を見ても、哀れなものですが、下っていないじゃないですか。
だから私は、この憲法に書いているものを本当に実現する努力をみんながしようじゃないかという提案なんです。その一番の具体的な例が平和主義なんですね、憲法第九条なんです。その具体的な手だてについて、私は、ここへ来てしゃべりました。だから私は、すぐこっちがあれだ、こっちがあれだ、変えようじゃないかというようなものではなくて、まず実現に努力しようじゃないかと。
つまり、私が前文を引用したことは、ないものをあるものにしようということを言っているのですね、これは。そうしたら、その努力を十分していないでしょう。その一番いい例が今の平和主義の実現ですね。やっていないのですよ。そうしたら、これは、我々はこれから本当に皆が努力しようじゃないか。政治の党派の別を超えて、あなた方は全部憲法を守ると言っているのですから。憲法を守るというのはどういうことか。それは実現に向かってみんなが努力することでしょう。ということが、私の今考えていることです。
○細野委員
非常に丁寧なお答えでありまして、ありがとうございました。
私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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