4月22日

個人情報保護に関する特別委員会  

○大畠委員
 民主党の大畠章宏でございます。
 個人情報の保護に関する関連五法案について質問をさせていただきます。
 昨年、内閣委員会でこの個人情報の保護に関する法律案の審議をしてきたわけでありますが、大変中身が濃いといいますか、非常にさまざまな論議があったことを思い起こしております。私も内閣委員長としてあの席にずっと座っておりまして、片山総務大臣の雄弁を聞きましたし、竹中大臣のいろいろな話も聞きましたし、官房長官のお話も伺いました。防衛庁長官も出てきていただいたり、さまざまなことがございました。
 私は、この個人情報の保護に関する法律案、五法案ありますが、今の時代におけるあるいは日本における、国民生活と言ってもいいのでしょう、あるいは国民の経済活動といいますか、そういうものにも非常に大きく影響する法律案なだけに、今お話をいろいろ聞いておりましたが、あいまいであっては国民が困ってしまうんですね。やはり法律というのは、ある人が解釈すれば黒くなるし、ある人が解釈すれば白になる、こういう法律では法律を施行したとしても国民が混乱するだけだと、先ほどからの論議を聞いておりまして感じました。
 きょうは、そういう昨年一年間の審議、あるいはことしになりましてからの新しく提出された法律案等々について、振り返りながら御質問をさせていただきます。
 きのうの参考人のお話を伺っておりましても、私自身のとらえるポイントは、細田大臣もITには非常に詳しい大臣でございますけれども、この情報問題は、かつては、文書を墨で書く、本も余りありませんでしたから、それを、写本といいますか本を墨で写す、そういう情報がベースだったでしょう。それが、印刷技術が発達してきまして本になる。それがまた、今度はコピーする機械が生まれた。そしてまた、それに今度はIT社会が入ってきて、ワープロ、パソコンというのが出てきて、それにメールが出てきて、あっという間に百人、千人、一万人、一億人のところまで情報が流れる、こういうふうな情報になりました。表をつくるということについても、手書きの表というのは大変なんですが、それをコピーしたり、あるいは電子情報にすればあっという間に世界に広がる。こういう社会になって、個人の情報をどうやって保護するかということが非常に問題になってきました。これは大臣も御存じのとおりであります。
 それで、最初のころの発想というのは、きのうも参考人がいろいろおっしゃっていましたけれども、個人の情報、これは、行政の個人情報と、個別といいますか民間利用の個人情報、この二つの種類がありますね。どっちがということはないんですが、情報量を持っているのは圧倒的に行政情報なんですね。民間の個人情報の利用の仕方にもいろいろ問題があったと私自身も思いますけれども、いずれにしても、そういうものを包括して何かきちっとしなきゃいかぬということで今回の法律案が出てきたと思うんです。
 そこで、今いろいろもめているのは何かというと、行政の膨大な個人情報をどういうふうに行政内が利用しているか、そして自分自身の、市民の個人情報というのはどういうふうに行政内で回されているんだろう、ここのところで、行政も電子政府を目指していまして、非常に広範なことでデータのやりとりがされるということは予測するんですが、果たしてどういうふうに行政が管理しているのか、どういうふうに利用しているのか、これは一般市民にはわからないんですね。
 ですから、最初にちょっとお伺いするのは、先ほども防衛庁のリスト問題でもめておりましたけれども、住民基本台帳法の四項目というものをやるということ、さまざまな論議がありながらこの法律案ができたわけでありますが、そういうもののほかに、まさかこういう形で利用されているというのは一般住民は全くわからないわけですね。
 それから、去年ももめた原因は、防衛庁の、情報公開法に基づいて資料請求した、それがリストとしてつくられたという話で、大体委員会でもめる法案というのは、どこかおかしなところがあるともめるんですね。きちっとした法案というのはそんなにもめないんですが。それだけに、この個人情報に関する五法案、政府の方も、いろいろ一年間の論議を踏まえて修正案を出されましたけれども、あいまいなところをつぶしていかなけりゃならないと思いますね、国民のために私たちも委員会をやっておるわけですから。
 そこで、一番最初に、行政の目的外利用の禁止について基本的にどうすべきかということを、これは政府提案者と、それから野党の方でも対案を出しておりますから、その二者から、この目的外利用の禁止問題についてどういう基本的な見解を持っているか、お伺いしたいと思います。

○片山国務大臣
 本当に、委員長をやられて御苦労されましたから、大畠委員には釈迦に説法ですけれども。
 政府案では、個人情報の利用目的を具体的に明確にさせるということが一つ。その上で、目的外利用や提供の必要があるときは、厳格に厳重に制限をして使わせる。そのためには、目的外利用や提供の場合には相当な理由がなきゃいかぬ。もちろん、職務に属さなきゃいかぬ、あるいは個人の権利利益を侵害しちゃいかぬ、これは当たり前のことでありますが、その上に、相当な理由がある。これは、原則禁止の例外として認めるにふさわしい、だれでもがなるほどと納得できる客観的な理由でなきゃいけませんので、個別事案において厳格に判断すべきであり、決して行政機関の恣意的な解釈を認めない、こういうことでございます。
 しかし、実際に判断するのは人でございますので、まず、すべての職員が隅々まで制度の趣旨を的確に理解する、同時に、透明性を確保することによって担保していく、こういうことでございまして、教育研修をしましたり、施行状況調査による個人情報ファイルの目的外利用や提供の状況の公表をいたしましたり、そういう仕組みを今回の法律案ではとっておるわけでございます。

○細野議員
 ちょうど一年前は、大畠委員長のもとで、私も内閣委員会で質問させていただいておりましたので、その内閣委員会できちっと議論できないというのは、我々にとっては大変無念でございますけれども、こういう形で今設定をされているということで、今回は我々も法案を提出して議論しているということでございますので、お答えを申し上げたいというふうに思います。
 まず、目的外利用については、前提として、そのファイルがどういう目的で保持されているのかということを確認するのが出発点となります。ここの部分で、政府案では十条、我々でいうと十二条になるんですが、政府案は個人情報ファイル簿の通知について大幅な例外を設けております。この例外になってしまいますと、実は、行政の内部でも何のための目的でその個人情報が保有をされているのかというのが不明確なままになってしまうわけでございまして、まず、出発点として、ここに政府案と野党案の大きな違いがあるというふうに考えております。
 その上で、目的外利用についても、これは、原則禁止というのは野党案も政府案も同じなんでありますけれども、その例外として、政府案では、相当の理由がある場合には目的外利用が認められている、野党案では、当該事務の円滑な遂行に著しい支障が生じるときと、極めて厳しい限定を課しているということでございます。
 その上で、さらに設けておりますのが手続的な要件でございまして、これは十条三項でございますけれども、利用目的以外の目的で個人情報を利用、提供した場合については、情報公開・個人情報保護審査会に諮問をする、その際に、その目的外利用は合理的なものかどうか、当該事務の円滑な遂行に著しい支障があるかどうかということは、当該行政機関がこれを立証する責任があるという手続が入ります。さらに、十条五項で、目的外利用をした場合には記録にとっておかなければならない。
 こういう手続的な部分もきちっと担保をすることによって、目的外利用が国民から理解をされるように、しかも外からも見えやすいようになされるということを前提としたのが野党案でございます。
 以上です。

○大畠委員
 片山総務大臣にお伺いしますが、先ほどの御答弁の中で、行政機関の恣意的解釈は許さない、こういうふうなお話がございました。先ほどの防衛庁の、十八歳以上の健康状態まで付加したリストというものを、先ほど総務大臣は、いいじゃないか、そのくらいは行政として法律に基づいてやるんだからいいじゃないかというように受け取れる発言がございましたが、これは、総務大臣は、先ほどの論議されたところまではいわゆる行政の当然な権利として施行しているのであるというふうに解釈されておるんでしょうか。

○片山国務大臣
 これは、何度も言いますように、自衛隊法や自衛隊法に基づく政令ができておりますし、それから、そもそも、住民基本台帳法の四情報は公開情報でございますし、自衛隊員を募集する仕事というのは国の仕事であり、しかも、それは地方公共団体の長にやってもらうということになっているわけですよ。しかも、その長は広報宣伝をやるということも義務づけられておりますし、防衛庁が必要なら資料の提供その他が求められるということになっているわけでありますから、四情報ぐらいについて協力するのは、法令に基づいて当然のことだと思っております。

○大畠委員
 先ほどのお話では、健康状態とかそういう問題も含めて入れることも何か容認するような発言をされておりましたが、四情報をやるということは一つのそういう見解でありましょうが、しかし、それに付加してさまざまな情報を入れてリストをつくったというのは、まさに行政機関の恣意的解釈と言わざるを得ないと私は思いますね。
 したがって、私は、ここら辺、二番目の質問に移りますが、主務大臣の関与についてどう考えるかということ、あるいは、これも何度も言われておりますが、第三者機関の設置についてどういうふうに考えているか、これをあわせてお伺いしたいんです。
 大臣によって解釈を変える。いわゆる相当の理由がある場合を除くということになっていますが、この相当の理由というのは、今総務大臣がおっしゃったように、大臣が解釈すればいいということになるんでしょうか。この主務大臣の関与という問題。
 それから、いろいろ論議はありますが、お金がかかるから第三者機関はつくらないんだというんですが、どうも基本的に視点がずれていると思うんですね。何のための行政府なのか、何のための政府なのか。金がかかるからこれはやめちゃう、金がかかるからこれはもう要らない、そうしてくると、何のためにこういう個人情報保護法というのをつくるのかわからぬ。
 私自身も、食品安全委員会の設置法についても質問をさせていただいたことがあるんですが、通常の行政がたくさんあって、その上に食品安全委員会というのをちょっと乗っければいいんだというんだけれども、どうも、コストの問題と国民が求めているものにどう対応するかというその二つがせめぎ合うときに、コストがかかるから、それは抑えても現状の組織をうまく生かしながらこうやるんだという意識が何かちょっと強過ぎるように感ずるわけであります。
 この主務大臣の関与の問題と第三者機関の設置について、もう随分この委員会で議論されておりますが、改めて、政府提出者並びに野党提出者の方からそれぞれお伺いしたいと思います。

○片山国務大臣
 我が国の行政は、これも釈迦に説法ですが、議院内閣制で各大臣が責任を持ってやる、こういうことですね。内閣の意思決定は閣議で決める。アメリカは大統領制で、一人で決まるわけですから。もちろん議会の関与はそれぞれありますよ。
 そこで、日本の行政を見るときに、一番専門家なのは役所ですね。それは、それを専門でやってきているんだから。それからもう一つは、法令に基づいてやっているんですよ。法令に基づいて、すべて、法治国家で。したがって、憲法以下、法令を守れ、法令に従ってやれと。だから、例えば相当の理由と書いたって、それは恣意的なことを許すわけじゃないんですよ。だから、私は、そこのところが皆さんと少し違うなと思うんですよ。
 もし委員の言われるようなことだと、全部第三者機関が要りますよ。国民に選ばれた多数のグループが国政を責任を持って担当して、連帯して国会に責任を持っておる、こういうわけですよ。それぞれの大臣が、責任を持って、専門家集団を従えて、法令に基づいて仕事をやる、こういうことでございますから。しかも、最終の判断は司法が担保するんですよ、何度も言いますように。
 だから、大臣がやると、役所がやると恣意的なことをやる、法令に基づかない、法令から離れたことをやる、これはおかしいので、もしそういうことがあって問題になるのなら、それこそ、処罰規定だとか国家公務員法の懲戒処分だとか、それはもういろいろな担保があるわけですから、何でも第三者機関というのは、これはいささか私は問題ではないかと。
 アメリカは、権限が大統領に集中しているから行政委員会をたくさんつくっているんですよ。分けているんですよ。日本は各大臣が責任を持っているんですよ。総理大臣が一番偉いわけですけれども、これは閣僚の任免権があるから一番偉いんだけれども、個々の仕事は各大臣ですよ。その大臣と切り離して、ある仕事の個人情報保護の部分だけは委員会にやらせますと、ある意味では二重行政的になるんですよ。しかも、その委員会というのは、国会に責任を持っている人がなるわけじゃない。民間の人やその他の学識経験者がなるわけで、国会や国民に責任を持っていない。ある意味では無責任になる。
 それからもう一つ、上から下まで、地方の末端までその組織をつくるとすれば、これは膨大な人と金がかかるわけでありまして、行革に反するんですよ。そういうことのためにそれぞれの役所があるんですから。そこのところはぜひ御理解を賜りたいと思います。

○細野議員
 総務大臣から大演説がございましたけれども、基本的に、ここがやはり政府の考え方と、与党の皆さんの考え方と我々の違いだというふうに思っております。
 先ほど委員がくしくも指摘をされましたが、少なくとも、自衛官の募集に際して、そこに健康情報であるとか、また、これは事実関係を確認しなければなりませんが、障害の有無のような情報が、これを提供されることが私どもは相当な理由に当たるとは考えませんし、それが合理的な判断であるとは思いません。こういう部分について、主務大臣とはいいますが、現場の省庁に判断させることが果たして適切なのかどうなのか、我々は、その出発点において、やはり、できる限り客観的な組織にそこに判断に入ってもらった方がいいだろう、そういう判断をいたしております。
 行革の議論とは全く違うレベルで適切な運営を図っていくというのが私どもの趣旨でございまして、目的外利用の部分に例をとりますと、この部分についてこの審査会をきちっとかかわらせることは、私は、この法律を適正に運営するために不可欠な要因である、そのように考えております。
 第三者機関、民間の方も含めて、もうお一人の提出者の方から御説明させていただきます。