3月11日

イラク特別委員会  

○細野委員
 両大臣におかれましては、参議院の予算委員会に引き続き、大変お疲れさまでございます。
 早速、時間も短いので質問に入っていきたいというふうに思うんですが、まず、今、防衛庁の方と外務省の方から、それぞれ、最近の情勢ということで説明をいただきました。その中で、八日の基本法の合意、署名ですか、これについて御説明をいただいたんですが、非常にさらっと、「政治プロセスの枠組みを整えるものとして重要」であるということと、今後「円滑に進むことを期待」するということだったんですが、まず外務大臣に、この基本法の中身についての評価、どのように考えられているのか、そして、今後焦点はどの辺に移っていくのかということについて、これではちょっと説明になっていませんので、まず御説明をいただきたいと思います。

○川口国務大臣 基本法でございますけれども、これはそもそも二月末の制定というものを目指していたわけでございます。それが、現地時間の三月八日、若干おくれまして、イラクの統治評議会メンバーの全員によって署名をされたということであります。
 それで、幾つかのことがこれに書かれているわけでして、まず、共和制、連邦制、民主主義という基本的な原則を掲げたということです。そして、選挙による国民議会の選出、また、国民議会による大統領評議会、首相、閣僚評議会の設立といった移行期間における統治の体制、それから、憲法の起草と国民投票、さらに、それに基づく新政府の樹立といったことが明記されております。
 これは、我々としては、イラク人による民主的な政府の設立に向けた政治プロセス、これの枠組みを整えるものとして歓迎をするということが我々の立場でございます。
 それで、この策定に至るまでいろいろなことがあったわけでして、シーア派、スンニ派、クルド、この各派の間で、例えば、連邦制を採用することがいいかどうか、それから、クルドの人たちがどれぐらいの自治の権限を持つか、イスラム教をどのように位置づけるか、そういったようなことをめぐってさまざまな利害関係の調整が行われたということであります。それから、国連のミッションが行きましたけれども、どのような形で選挙をやるか、あるいはその実施時期はいつかということについても議論があったわけでございます。
 今後ということですけれども、これは、その基本法に書かれたスケジュールがわっとあるわけでございます。それに従って、民主的な国家の再建に向けて、六月末の統治権限の移譲ということがまず最初にあるわけです。そして、その後の選挙実施体制等の政治プロセスを円滑に進めていくということがあるわけでございます。そういったことを逐次進めていくということであるかと思います。
 我が国としては、この過程において、できる支援をしていきたいと考えています。

○細野委員
 今、大臣から中身の解説と経緯を御説明いただいたんですが、どういう評価をしているのかということについて全くお答えいただけなかったのかなというふうに思っています。
 確かに、民主的なプロセスにこれから乗っかってくることを我々も望んでいるわけですが、では、果たして民主的というのは一体どういうことを言うのか。例えば、来年行われるというふうに言われております選挙が、直接選挙がいいのか、それとも、ある程度のそれぞれの民族なり宗教なりに配慮したような形がいいのか。はたまた、目の前に暫定政権つくらなきゃならないんですが、その中には、今の統治評議会のように、ある程度またそれぞれの代表を呼んでくるのか、もしくは地域別に均等に割り振るのか。民主的といっても、できるだけ平等に日本の民主主義のようにやるのがいいのか、それとも、民族もしくは宗教に配慮した形の措置がいいのか、これはなかなか判断が分かれるところだと思うんですね。このあたりについて外務大臣としてはどういうお考えを持っておられるのかということを端的にお答えいただきたいというふうに思います。

○川口国務大臣
 先ほど言いましたように、一番最初のところにきちんと共和制、連邦制、民主主義ということが書かれているわけであります。
 それで、選挙について具体的にどのような形でやっていくのか。それは、先ほど申しましたように、これから考えていくことであるということだと私どもは理解をしています。
 基本的には、イラクの人たちが新しく、これは暫定政府、移行政府、二つの段階に分かれてこの基本法は書かれているわけでして、それで、国民選挙につきまして、国民会議の日程については、これは二〇〇四年の十二月三十一日、遅くとも二〇〇五年の一月三十一日、これまでに予定をされるということで書いてあるわけです。これがどのように行われるか。それは、直接選挙ということがこの前の国連の報告書には書かれているわけですけれども、具体的にそれがどのような、具体的にもっともっと詰めていかなければいけないことはありますし、関連の法制をどう考えるかということもあります。そういったことについては、今後の選挙のことについては、暫定政府の過程で政治プロセスをどうするかということは考えていくということであると思います。
 そういう意味で、先ほど、評価という意味では、これを我が国としては枠組みをつくるものとして歓迎しているということを申しましたけれども、それが評価であるわけです。

○細野委員
 今民主党でも、これから、どういう枠組みがいいのか議論をしていこうというふうに思っています、支援のあり方も当然それにかかわってくるわけでございますので。もちろん最終的には、これはイラクの方がみずから決められることなんですが、アメリカ政府の場合は、CPAというところを通じて、ある程度その枠組みの中に入って意見を言っているわけですよね。日本も、全く部外者でいたときにはまた違う評価もあるんでしょうが、今、人も出し、そして当然お金も出すという枠組みの中で、どういうふうな形が望ましいのかということについては、今解説はしていただいたけれども、日本としてはどう考えるんだというスタンスは出てまいりませんでした。この部分についても、やはりある程度の分析をして方針を出していく、我々もこれから出していきたいと思っていますが、そのことを要望だけしておきたいと思います。これは答弁は結構です。
 これから、この基本法ができたことによって、焦点が、六月三十日以降の、まさにイラクの暫定政権ができるそれ以降に移ってくるというふうに思っています。そもそも、六月三十日以降の我が国としての支援のあり方について、基本的な部分の認識をまずお伺いしたいというふうに思います。
 イラク特措法なんですが、この法律を見ますと、第一条の「目的」のところに、国連安保理決議の一四八三を踏まえてということが書いてあります。一四八三というのを見てみますと、これは当時大変議論になった決議ですので、どういう決議かというのは、これはみんな知っているわけでありますが、この中身というのは、CPAの統治というのを基本的に認めていく、その中で、その枠組みを、ほかの国々にも協力をいただいてイラクの独立を促していこう。CPAの統治を基本的に正当化して枠組みを広げると同時に、イラクの独立を支援していくということを書いたのが一四八三なんですね。
 六月三十日以降に、この一四八三を根拠としたイラク特措法で本当に支援を続けるというのが法律的にできるのかどうか。ここ何度か委員会でもやりとりをされていますが、きちっとした答弁がまだ外務大臣から出ていないというふうに私は認識しています。ここをお答えいただきたいと思います。

○川口国務大臣
 基本的に、決議一四八三においても、それから一五一一についても、これはいつまで有効である、あるいはいつまでしか有効でないということは書かれていないわけでございます。我が国としては、この一四八三そして一五一一にこたえてイラクの人たちの復興を支援するということで、車の両輪と言っていますけれども、支援を行っているわけでございます。こういった支援のあり方あるいは考え方、これについて、引き続き、一四八三、一五一一が基本であるということは変わらないわけです。
 今、またさらに新たな安保理決議が必要かどうかという議論もございますけれども、今の時点で新たな安保理決議について議論がされているということでもございませんし、それがないから困るかというと、一四八三、一五一一があるわけですから、それに基づいて支援をしていくということに何ら問題はないということだと思います。

○細野委員
 いや、それはやはり大臣、ちょっとおかしいんですよ。
 というのは、これはCPAと統治評議会の間でも、昨年の十一月十五日の合意の中で、CPAは実質的な役割を終了するということがはっきり出ているわけですよ。日本語訳を読みますと、「国連決議で定められた連合国の占領統治者としての責務は終了する。」ということが書いてあるんです。
 これはイロハのイのところで法律に一四八三と書いてあるわけですよ。一四八三のところで、このCPAの合意を前提としている。一四八三も一五一一も基本的には同じです。両方CPAを前提とした決議になっている。一四八三も一五一一も、もちろん存続はするんですが、明らかにそういう意味での役割を終えて、新たな国連決議が求められるのは当然のことだし、この支援の枠組み自体も、これもこの法律に基づくものとは変わってくるというのが当然の法律の解釈じゃないですか。
 一四八三はCPAを前提としていますよね。それはよろしいですね。CPAを前提とした法律構成になっているということをしっかり答えてください。これは外務大臣に。
 いいですか、法律の根拠は一四八三だけなんですよ。根拠というか、これを踏まえて、前提ですよね。前提が崩れているのにできるんですかということを聞いているんです。

○川口国務大臣
 国連の決議のことでございましたら私の担当でございますけれども、法律それ自体ということでしたらば、イラク特措法が有効かどうかということであれば、防衛庁長官にお聞きいただくということであるかと思います。
 それで、私の立場から、一四八三、これがCPAを前提としているから無効であるかということをおっしゃられているわけですけれども、それはそういうことではない。もちろん一四八三は、一五一一もそうですけれども、各国に対して、加盟国に対して、支援するということを求めているということであるわけですから、我が国はそれにこたえて人道復興支援等を行うためにイラクに行っているということでございまして、その基盤が、一四八三が無効である、有効期限が切れているということではないわけなので、それは我が国にとって引き続きベースであり続けるということを先ほど申し上げたわけです。

○細野委員
 ここは水かけ論になるので、もう一歩、ちょっと前に進めた話をしていきたいというふうに思うんですが、もう一つ、私がこれから……(発言する者あり)もう一回聞きますか。
 そもそも、国連決議がこれから必要ないと思っている国は恐らくないと思いますよ、この六月三十日以降に。そもそも一四八三と一五一一があって、要するに、我が国は、当事国の同意がない状態で派遣をするという歴史的な一歩を踏み出したわけですよね。そうではなくて、新しい政府ができるわけだから、当然その政府の同意は必要だし、そして、そこにおいてどういう形で国連がかかわるのか、各国の軍隊がかかわっていくのか、実力部隊がかかわるのかということについて新しい決議が必要だ、これは当然じゃないですか。今ちょっと外務大臣のお答えを聞いてびっくりしましたが、日本としては求めないんですか、新しい決議を。

○川口国務大臣
 幾つかの点について整理が必要であるかと思います。
 我が国の自衛隊がなぜイラクにいるかということについては、これは国連決議にこたえてということですが、一般国際法上、軍隊が、要するに自衛隊がイラクにいるということについては相手国の同意が要るということであるわけですね。
 ですから、もし委員が、六月三十日以降、我が国がどのような形でイラクの政府から同意をとって、いるのかという御質問であるならば、それはまたちょっと別な御質問でして、一四八三、一五一一は引き続き有効であるということを先ほど来申し上げているわけですが、もしイラクの、先生の御質問がどのような合意をとるかということであれば、それは何らかの形で、我が国の自衛隊がそこにいるということについて、暫定政権なり移行政権なりの同意の確認をするということであるわけです。
 それで、基本法においてその点についてはっきり話が書いてあるかどうかということについては、それは、まずその基本法の規定を十分に踏まえるということでございますけれども、今まだその細部についてよくわからないことがある。例えば、今までの、CPAが、ガバニングカウンシル、協議会と結んだ合意、これは、新しい法律がそれをリプレースするまで有効であるというふうに基本法には書かれているわけですけれども、では、その中身がどこまで入るのかとか、具体的なことは今後引き続き確認をする必要があるので、それは今後行っていく。
 いずれにしても、我が国の自衛隊は、イラクの政府の、我が国の自衛隊がいることについて同意、これがあるということを確認する、この手続はやっていくということで考えています。

○細野委員
 では、再確認しますが、六月三十日以後に暫定政権から日本は合意をとる、自衛隊の駐留について。このことはいいですね。合意をとるんですね。

○川口国務大臣
 ですから、何らかの形でとる。その形態については、これはいろいろなことがあり得る。それは詰めていきますが、何らかの同意がなければ、そもそも、国際法上、自衛隊はいられないということは今までも申し上げたとおりであります。ですから、同意の確認というふうに申し上げているわけでございます。

○細野委員
 いや、同意がないと自衛隊はいられないといったって、今までイラク人の中できちっとした意思決定ができないんですから、同意がないのに行っているんですよ。六月三十日以降はきちっとした政権ができるんだから、そこで、どういう手続になるかは確かに不明確かもしれませんが、外務大臣、合意をとられるとおっしゃいましたので、これはこれで結構ですが、きちっととっていただきたい、このことだけは申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、外務大臣、国連決議は必要ないのではないかというふうにおっしゃいましたが、それは明らかに、過去の経緯からいっても、この法律の経緯からいっても、私はおかしいと思います。日本として、本当に国連決議必要ないというふうにお考えなんですか。これからも求めていかないということなんですか。これはきちっと答弁してください。

○川口国務大臣
 我が国として、一四八三、一五一一というのは引き続き有効であるということを申し上げて、新しい決議を今議論するという状況ではない、されていないということを先ほど申し上げたわけです。
 新たな国連決議が必要であるか必要でないかというのは、何について国連決議をつくろうとするのかとか、いろいろなことがあり得ますから、もちろん必要があればつくるということでありますし、それは安保理で議論をされるということだと思います。
 申し上げているのは、一四八三、一五一一が引き続き有効であって、その一四八三、一五一一にこたえて我が国が支援をするということについては変わらない、新たに国連決議がなければ引き続き支援ができないということではないということを申し上げているわけです。

○細野委員
 有効というのは、過去、日本政府は、イラクのときもいろいろ昔の決議を引っ張ってきてやっていますから、有効か無効かといえば有効というのはわかっていますよ。
 ただ、私が申し上げているのは、CPAという存在を前提としたイラクの決議と、イラクでそれこそ新しい政府ができたときの決議というのは、これは当然変わってくるでしょう。それを踏まえた新しい国連決議を求めていくということは、これは国際社会として当然のことじゃないですか。
 そこを、ちょっと今の答弁では、どういう状態になるかわかりませんからということを言っておられるけれども、そうじゃなくて、新しい政府ができるわけですよね、その政府とどうかかわっていくのかということに関して決議を求めるのは、これは当然のことでしょう。もう一度お願いします。
    〔委員長退席、西田委員長代理着席〕

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○川口国務大臣
 ずっと今まで申し上げていますように、国連の決議、これは必要に応じて、できるということであれば、それはその方がいいというわけであります。だけれども、なければ何かできないかというと、それは新たに何か新しいことをやるということであれば必要かもしれませんけれども、我が国は引き続きいる、イラクの新しい暫定政府なり移行政府の合意があるという前提でですけれども、いるということについて、新たな国連決議がなければいられないかというと、そうではないということを申し上げているわけで、必要でないかどうかという、なければいられない、だから必要であるということではない。あれば、もちろんあった方がいいでしょうということで申し上げているわけです。

○細野委員
 あった方がいいという答弁が初めてありましたが……(発言する者あり)あった方がいいとはおっしゃっていないですよ。今まで必要はないとおっしゃっていたんだから。
 外務大臣、こういうところで、人を出しているんだから、これから国連に対してどういうことを日本としては求めていくのかときちっと発言すべきだと思いますよ、安保理にも入るという意思表示もされているんだから。こういうところできちっと必要性を言って、その中で、次の段階として、PKOを求めていくのか、それとも恒久法をつくっていくのか、それは石破長官もいろいろお考えがあるかもしれないけれども、そういうことを積極的に国際社会に対しても発言をしていくということがぜひ必要だと思います。
 今、あった方がよいという答弁がありましたが、もっともっと前に踏み出して発言をしていただきたいということだけ要望しておきたいと思います。
 聞きたいことがいっぱいあるものですから先に行きますが、在外公館の警備の問題、これに、私、非常に大きな関心を持っています。
 何度か外務大臣も、去年のあの不幸な事件があってから、大使館の警備を充実させなければならないということをおっしゃっていますが、その後、若干トーンダウンしたようにも見えます。現在も大使館で仕事をされている方はたくさんいらっしゃるわけでございまして、そこがどうなっているのか、心配をしている国民はたくさんいると思います。
 検討状況をまず手短に、短目にお話しいただけますでしょうか。

○川口国務大臣
 イラクにございます我が方の大使館の安全について関心を持っていただいて、大変にありがたいと思っております。
 それで、今検討しているということですが、これは現在何をしているかというと、関係の各省庁と協議を行っております。
 それで、どういうことについて検討をしているか、一緒に考えていただいているかということですけれども、まず、幾つかの選択肢があります。自衛隊によるもの、警察によるもの、あるいは外務省みずからが警備体制の強化をするもの、大きく言って三つあるというふうに申し上げたらいいと思いますが、そういった選択肢が幾つかありますので、その選択肢ごとにというか、選択肢を幅広く検討しているということであります。
 それから、どの選択肢をとろうと、幾つかのことが検討すべき課題であるということです。例えば、受け入れ国、この場合イラクですけれども、基本的に受け入れ国が警備をするということになっていますから、接受国との関係というのが一つあります。それから、警備体制のあり方、これは武器使用のあり方ということも含めているということであります。それから、そのときにどれぐらいの、要員をどうするかといったような問題もあります。
 そういったことについて相当に綿密に議論する必要がありますので、今協議をさせていただいているという段階です。

○細野委員
 検討とおっしゃるんですが、去年十二月頭にああいう発言をされて、もうかれこれ三カ月たったんですか、今まさに必要とされているわけですよね。こういう部分での対応の遅さというのは相当深刻だというふうに考えています。
 私も、自衛隊がいいのか、もしくは警察組織がいいのか、いろいろな方にいろいろ話を聞いて考えてみたんですが、現段階で恐らく一番可能性があり、かつそういう能力も持っているのは、そして今派遣の可能性として一番好ましいのも警察だというふうに思っています。私どもの民主党の菅代表も、そういう発言をもう既にしています。
 法律的な部分を確認したいんですが、警察法六十一条という規定がありまして、これによると、ちょっと前半はしょりますが、「公安の維持に関連して必要がある限度においては、その管轄区域外にも、権限を及ぼすことができる。」すなわち、公安の必要性があれば海外にも行くことができる、こういう規定があるんですね。
 政府委員の方に、法律的に、実態論として都道府県警があるとか、どこが行くかわからないという問題があるのはわかります。ただ、必要性があれば出せるという規定が存在をする、これはよろしいですね。

○瀬川政府参考人
 警察法の法的な解釈という観点のお尋ねだと思いますので、そういう前提でお答えをさせていただきたいと思いますけれども、警察法六十一条の規定は、今委員が御指摘のとおりでございます。
 ただ、これはあくまでも警察法上は例外的な規定でございまして、現行警察法は、原則といたしまして、執行的性格を有するすべての警察事務は、地方自治体の機関である都道府県警察の事務とされております。また、都道府県警察は、当該都道府県の区域を管轄区域として、その管轄区域内において警察の責務に任ずるというのが原則となっているわけでございます。その例外として、今御指摘ありました警察法六十一条ということで、「公安の維持に関連して必要がある限度においては、」「管轄区域外にも、権限を及ぼすことができる。」こういうことにされているわけでございます。
 ただ、ここで申し上げておきたいのは、この「必要がある限度」という範囲につきましては、およそ何がしか関係があれば管轄区域外での権限行使をすべて認められる、こういう意味ではなくて、管轄区域外の権限行使が管轄区域内の治安維持に資するなど、両者の間に社会通念上相当な関係があるというふうに認められる場合であり、かつ、当該事案や事件の性質から見て、その処理や対処に当たり、個々の都道府県警察が管轄区域外に権限を及ぼすことが合理的であると認められる場合ということを指すものというふうに解されるところであります。
 在外公館の警備につきましてこの観点で見たときに、大きく二つあると思うんですけれども、一つは、具体的な事件捜査等であれば格別、海外にある施設の警戒を継続的に行うということが、個々の都道府県の管轄区域内の治安維持と相当な関連があるとは言いがたいのではないかという点。
 それからもう一点は、このような事務は、そもそも極めて強い国家的性格を有しているものでありますので、都道府県警察がみずからの管轄区域における警察責務を果たすため通常行うものとして警察法が想定している範囲を超えており、これを都道府県警察の事務と整理した上で管轄区域外の権限行使として処理させることには無理があるのではないか。こういった問題点が法的にはあるのではないかと考えているところでございます。

○細野委員
 行きたくない理由を一生懸命考えた、そんな印象ですが。
 私は、個人的にはもう警察しかないと思っています。法律の改正も必ずしも必要がない。まさにこれは政治判断でできるわけですから。
 後ほど外務大臣に聞きたいと思いますが、防衛庁長官に一言も聞いていないものですから、防衛庁長官としては、この派遣の問題、今の自衛隊の現状を踏まえてどのようにお考えになっているか、よろしくお願いします。

○石破国務大臣
 これは、今外務大臣からお答えがありましたように、外務省の中でいろいろ御検討中であるというふうに承っております。また、必要に応じまして、関係各省庁が、それの相談といいますか、お話をさせていただいておるという現状です。
 基本的に、先生、警察がいいという御指摘でした。私は、何がいいとか何が悪いとか、そういうことは申しません。
 ただ、自衛隊、いわゆる普通の国において言います軍隊というものは、これは集団で行動するのが軍の特色ですね。個で動くということはいたしません。そして、これが海外に出るということになりますと、また二通りございまして、外務省に身分がえして行くという形になりますと、つまり自衛隊員の資格を失い外務省職員として行きます場合には、これは、外務省設置法なのか何なのか、外務省関係の法律を直さなきゃいかぬだろう。自衛隊が自衛隊として行きます場合には、自衛隊法、防衛庁設置法、これの改正が必要になるだろうということでございます。
 政府として消極的権限争いをすべきものだとは決して思っておりませんで、必要なのは、何が求められているのか、そして能力はどこが持っているのか、国内法的な整理はどうなのか、国際法的にどう整理をすべきなのか、警察そしてまたいわゆる軍、軍事組織、私どもでいえば自衛隊、それが外国に出るということはどういうことなのかということをきちんと整理をした上でこのことは論ぜられるべきものと考えております。

○細野委員
 確かに権限争いをする話ではないと思いますし、また、時間的な猶予がある話でもないと私は思います。
 外務大臣に最後に、民主党としても、これはきちっと整理をして、どういう形がいいのかという提案をしますので、のんびりしたことをおっしゃらずに、これは本当に早くやらないかぬですから、政府内でも検討していただきたいということをお願いして、質問を終わります。