5月13日

武力攻撃事態対処特別委員会  

○細野委員
 早速、質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、井上大臣にお伺いをしたいんですが、国民保護法案の中に書いてあります避難施設、これは都道府県知事が指定をするということになっておるんですが、それとあと、避難にかかわるということになるわけですが、収容施設、これは住宅のようなものをイメージされているというふうに思うんですが、これらの指定のあり方ですね。特に避難施設の方については「政令で定める基準」ということが出ているんですが、その辺の考え方をまずお教えいただけますでしょうか。

○井上国務大臣
 これは、避難なんかをいたしますと、そこで生活するわけですね。少なくとも、食事をする、それから、住むということ、休むということ、これについてはやはり一定の要件が要ると思っておりまして、具体的にこれから検討してまいりますけれども、衣食住、特に食住がとれるようなところ、そういうような施設を指定して、必要な施設を確保していくということであります。
 これはまさに、まだ、具体的にこれから検討したいと思っていることでありまして、きちっとこういうような基準のところということは考えておりませんけれども、一般的に考えられますのは、避難とか収容施設というのは、公民館でありますとか学校とかあるいは公園とか、そういうようなものを想定しているわけでありますけれども、まだ具体的に、それでいくということでもございません。もっと幅広く考えていかないといけないと思うのでありますが、今私が申し上げたようなことは当然のこととして対象になってくる、そんなふうに考えます。

○細野委員
 もちろん、きっちり全部決めるのは難しいと思うんですが、今から白紙で考えますというのはちょっと余りに無責任ですね。
 これから市町村がそれぞれ避難施設、収容施設を選んでいくわけですね。それに向けて、どうなんでしょうか、考え方としては、まずは、ある程度、都道府県の知事に考えていただいて、それを国がバックアップするという考え方なのか、もう少しきちっとした基準を国がつくって、その中で都道府県が考えるということなのか、どちらの考え方に立っていらっしゃるんでしょうか。

○井上国務大臣
 この施設基準等につきましては、一応、国が考えて、都道府県知事の意見を伺うということになると思うのでありますが、そのほかにつきましては、基本指針というのがありますから、これをつくります。このときに、やはり都道府県知事でありますとか関係機関の方からも意見を聞いてつくっていくと思うのでありますけれども、何でもかんでもきっちりとその基本指針で決めるというわけにはまいりませんので、かなり幅を持ちまして規定をする、書くということになりますと、後は具体的に都道府県知事あるいは市町村長が判断をする、それによっていくんだろうと思うのであります。
 いずれにしましても、これは、具体的に責任を持って避難とか誘導をされます機関、そこの意見をやはり十分聞いていく必要があるんだろう、こんなふうに思います。

○細野委員
 指針をいつごろまでに示されるか、それだけちょっと簡潔に御答弁いただけますでしょうか。

○井上国務大臣
 これはどうも想像以上に大部なものになるというのが今のところの予想でありまして、これを一年以内に本当にできるんだろうかな、こんな感じなんです。しかし、できるだけ早くつくる、そういうことで今作業をしているというところでございます。

○細野委員
 もう繰り返しませんけれども、指針を示してからでないと都道府県はある程度の選定ができないわけですから、まず指針を示すという第一ステップになるわけですよね。今、一年というお話をされましたが、できるだけ早い段階でそれを示していただきたい、そのことを要望させていただきます。
 それに関連して、医療機関についても、避難施設にかかわって救援の部分で、医療についてもするんだということが書かれているわけですが、この医療機関、では、どういうところで医療行為を行うかということに関しての、これも例えば一定の指針みたいなものは示すんでしょうか。例えば地区の公立病院を考えるとか、大きな私立病院も含めるのか、その辺のガイドラインのようなものというのはどうお考えになっているんでしょうか。

○井上国務大臣
 これは、県とか市町村の段階になりますと大変具体的になろうと思うのでありますけれども、物の考え方としては、指針の方でこれを明らかにしないといけないと考えております。
 今現に開設しております病院とか診療所、これは当然のこととして対象になりますけれども、それで賄い切れない、カバーできないところをどうするかということでありまして、それについてもやはり考えないといけないということでありまして、これはどういうような規模で、どういうような施設をもって開設するのか、これもこれから十分に検討していきたい、こんなふうに思いますけれども、いずれにしましても、今の、法律に基づいて病院なんかを開設しておりますそういう基準ではとてもできない、臨時に開設する、そういった施設になる、こんなふうに考えます。

○細野委員
 この部分で私がちょっとこだわっていますのは、ある程度、こういう救援活動をする病院なんかはある特殊な対応というのが求められることが間々あるんだろうというふうに思うんですね。
 以前、首藤委員の方からも質問させていただきましたけれども、例えばトリアージのようなケース、それこそ、けがをした方、それぞれ程度が三段階に分かれるとすれば、軽傷の方はちょっと待っておいていただいて、もう残念ながら命の助かる見込みが極めて少ない方にかかるよりは助かる方に医療行為にかかっていく。
 私もこの分野の専門家ではないのでまだ十分調べられていないんですが、例えば医師法なんかで診療義務というのがあって、診療を拒否しちゃいかぬということになっているんですね。これが正当な理由に当たるのかどうかというようなものも含めて、多分、私は正当な理由に当たると思いますが、その現場で医師が、先に来た重傷の、もう亡くなるかもしれない患者さんに対応しないことが医師法違反に当たるんじゃないかというようなおそれを持つようでは、これは話にならない。
 担当大臣として、こういうトリアージのようなものも含めて、それこそ、ある程度そういうことが想定される病院には示すお考えはおありでしょうか。

○井上国務大臣
 トリアージまでいくかどうか、そこまではまだ検討しておりませんけれども、いずれ大規模な災害が発生をして、それで多くの傷病者が出た場合に、そういうような考え方というのは当然出てくると思います。
 今、この有事の法律の関係ではありませんけれども、東京都を中心にした関東の大地震が発生した場合の病人の対処につきまして検討しておりまして、そういう中には、今委員がおっしゃったような考え方が出てきております。これも、だからといって、何でもある種の区分をして、機械的にそれでやればいいということにならないと思うのであります。それはもちろん一定のいろいろな制約はあると思うのでありますけれども、私は、ある種の区分けをして治療していくということは、それは、実施の方法とも関係しますけれども、許されることではないのか、そんなふうに考えます。

○細野委員
 トリアージまでいくかどうかわからないという御判断ですが、大臣、その大丈夫だと思うという判断を、現場の医師に迷わすようなことがあってはいかぬのじゃないかと私は思うんですね。だから、事前にきちっとこういうガイドラインをつくっておいて、この部分のこういう対応をすれば医師法の違反になりませんよ、正当な医療行為であり、緊急事態にはそういうことをむしろやってください、そこまで踏み込まない限り、現場の医師は絶対そんなことはできないんですね。これは十分予想できます。
 もう一回ちょっと御答弁いただきたいんですが、現場に任すのではなくて、東京都が少し始めているという話がございましたが、きちっとこれを示す方向で前向きに御検討いただけないですか。

○井上国務大臣
 せっかくの提案でありますから、ひとつ十分に、かつまた慎重に検討させていただきたいと思います。

○石破国務大臣
 自衛隊の医官がそういう行為を行うような場合が多いであろうと思っております。
 多分、医師法に書いてあります診療義務というのは、拒否しちゃいかぬということであって、順番についての規定ではないというふうに承知をいたしております。そのときに重篤な人を後にして軽傷な人を先にするということは、診療義務に反するものではない、そのときにどのようにして診療するかという順番でございますから、これはまたよく井上大臣とも御相談をしながら考えてまいりたいと思っておりますが、私どもの医科教育におきまして、トリアージということ、かなりきちんと取り上げております。その場合に、医師法との衝突というものは現在のところ想定をいたしておりません。

○細野委員
 私も考え方は同じなんです。
 ただ、医師法のこの義務というのは判例が結構積み重なっていまして、例えば、酒を飲んでしまった人が、お医者さんがこれを拒否事由にできるとか、あと、手術中の方が急に入ってきた患者に対応しなかったのはこれは大丈夫とか、そういう積み重ねがあるんですね。そういう意味では、この分野に関しては積み重ねがないし、多分、想定し得る限り、余りこれからも出てこないだろうと思われるんですね。だからこそガイドラインが必要ではないかというふうに思いますし、それこそ、防衛庁の方でそういう専門家の中で議論をしていただいているということであれば、それを民間の中にも反映させる努力をぜひお願いしたいというふうに思います。
 続いて、先にジュネーブ条約関係について幾つか確認をしたいことがありますので、これは外務大臣中心ということになるんですが、お伺いをしていきたいというふうに思います。
 一つは、これは捕虜の取り扱いの法案にもかかわるんですが、ジュネーブ条約上の捕虜、これはジュネーブ条約に書いてあるわけですが、その取り扱いと、この捕虜等の取扱いに関する法律の中に書いてある抑留対象者、保護対象になる抑留対象者、これには差があるんですね。
 具体的に申し上げると、いわゆる捕虜規定に該当する方だけではなくて、例えば間諜、諜報活動を行っているスパイですね、こういう人も抑留対象者として保護される。さらには傭兵、お金で雇われている兵士についても、日本の場合は国内法で保護しようという規定になっている。これが保護対象となっている。ジュネーブ条約では、そういうスパイであるとか傭兵と捕虜というのは全く扱いを分けているんですね。当然のことですが、捕虜に関しては、お医者さんをつけなきゃならないとか、ある程度健康診断をしなきゃならないとか、手厚い待遇がなされていて、そういう間諜や傭兵なんかの場合は保護対象としてもう少し低くなっている。この差を設けているんですが、日本の場合はほとんど差がないんですね。
 このジュネーブ条約と国内法の違いというのはなぜ生じたんでしょうか。

○石破国務大臣
 事実、先生御指摘のとおりでございます。本法律案では、捕虜のほか、衛生要員、宗教要員、区別義務違反者、間諜及び傭兵を抑留対象者として規定をしておる、これは条文のとおりでございます。
 このうち、衛生要員でありますとか宗教要員につきましては、これそのものは捕虜ではございませんが、捕虜の健康状態あるいは宗教上の要求及び人数により必要とされる限度内、すなわち、そこの捕虜ではないけれども、その人たちの要求等々によりまして必要とされる限度内で、かつ、少なくとも捕虜と同様の利益を享受して抑留できるということになっておりますのがジュネーブ第一条約の第二十八条でございます。これを踏まえまして、必要な範囲内においてのみ抑留をするということにいたしました。
 他方、区別義務違反者でありますとか間諜は、これは明らかに敵国軍隊の構成員でございます。傭兵も、我が国に対する武力攻撃に直接関与をする者でございます。これは当然、拘束、抑留の対象といたしますが、ジュネーブ条約では、これらの者については、抑留の対象であることは前提としますけれども、これは、では捕虜と同等の保護を必要とするかといえば、それは必要としない、そのような利益を享受しないというふうなのがジュネーブ条約の趣旨でございます。
 したがいまして、紛争当事国が自衛権等に基づきこれらの者を抑留するということは否定はされないということでございますが、捕虜と同等の利益は享受をしないということでございます。

○細野委員
 ジュネーブ条約ではそういう差をつけているというのは私も承知しています。確かに、間諜なんかの場合は、基本的な人権は守らなきゃならないとは書いてあるけれども、お医者さんにかけなきゃならないとか、健康診断を受けさせなきゃならないとか、そういう措置については具体的に書かれていないんですね、ジュネーブ条約は。
 私が聞いたのは、なぜ、我が国の法案では、国内法においてはそういう高い保護をスパイであるとか傭兵なんかにするんですかということについて、国内法の規定について聞いています。

○石破国務大臣
 御趣旨を理解していませんで、失礼をいたしました。
 私どもとしては、このような者を捕虜に準じて有利に取り扱うというふうには考えておらないところでございます。当然、すべての場合、人道的に取り扱わねばならないことでございますが、捕虜とこれらの者との扱いというものは、それは区別というものがなされるのだろうと思っています。
 つまり、捕虜となる権利を失っている、例えば義務違反者のようなものですね、これはもう捕虜となる権利を失っておるわけでございます。したがいまして、その者が行いました戦闘行為はもはや正当な行為としては評価をされないということになりまして、それはもう我々の国の国内法によりまして処罰をされるということになるわけで、本法律案において、これらの者について特別に優遇をする、捕虜としての権利を与える、正当な行為としてそれを評価するということにはなっておりません。
 したがいまして、私どもの国がそのような者に対してほかの国と比べて有利な取り扱いをしているというような考え方はとっておらないところでございます。

○細野委員
 済みません。ちょっと私の法律の読み込みが足りないのであればそれは御指摘いただきたいんですが、間諜、傭兵に関して、自由を確保し、さまざまな保健衛生、医療を受けさせるという捕虜と同等の規定になっていませんか。

○石破国務大臣
 それは、その点においては御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、その捕虜の待遇を受ける者との例えて言いますと違いといいますのは、抑留給付金というものがございますが、抑留給付金のようなものは今先生がお挙げになったような者に対しては給付をなされないところでございます。全く同じ取り扱いをしておるわけではございません。少なくとも人道的な取り扱いというものはいたしますが、これらの者が捕虜としての正当な待遇を受ける者と全く同等の待遇を受けるという考え方はとっておらないところでございます。

○細野委員
 抑留給付金のところで差をつけるというお話でございますが、それ以外の取り扱いについては全く同じという理解でよろしいんですか。再度確認をしたいと思います。

○林(景)政府参考人
 恐らく、国際法と国内法の落差ということでおっしゃっているんだと思いますけれども、二つちょっと区別しないといけないことがございまして、一つは、抑留のあり方、仕方としてどういうレベルの保護をするのかということと、それから、その抑留されるに至った経緯、経過において、戦闘員として、つまり、国際法上、捕虜になる資格を持った人間として正当に行い得る行為、例えば殺傷行為とかございますけれども、そういうことについて処罰されない、たとえ相手方に抑留されても処罰されない権利というのが、捕虜となる権利というのがございます。そのことと、ちょっと二つ次元がございます。
 捕虜になった後にどういう待遇を受けるかというところが、この抑留法案の考え方において、そこについては基本的には同様の抑留のされ方をするということでございますけれども、しかし、戦闘員としての資格を持った形でさまざまな行為を行ったこと、そのことについてどう評価されるか、場合によっては処罰される、戦闘員であれば正当で処罰されないわけですけれども。それから、戦闘員として捕虜になった者についてのさまざまな、先ほど防衛庁長官からお話がございました抑留給付金だとか、そういったものについては別途の取り扱いの話になるということでございまして、その二つは区別いただく必要があると思います。

○細野委員
 今答弁されたのは、要するに、ジュネーブ条約上の違反を犯した場合は別途取り扱いと。これは当たり前なんですね。
 私が問題にしているのは、スパイであるとか傭兵というのは一般の捕虜とは違うんだ、日本の場合はスパイも一緒ですという取り扱いをすることが本当にいいのか。そもそもジュネーブ条約では、これは明確に分かれているんですね。そこは、この法律にも出ていますので、これ以上ここの部分については、これからの議論の対象ということで結構ですが、ぜひちょっと御検討いただいて、スパイをするなら日本の国だということにならないようにぜひしていただきたい。――それじゃ、長官、お願いします。

p>○石破国務大臣
 済みません。先生の御提案ですので真摯に聞かせていただきたいと思っておりますが、今、条約局長から答弁がございましたように、それらが行う行為は正当な行為ではないわけでございます。間諜ですとか区別義務違反者でありますとか、そういう者は犯罪者でございますから、そのように取り扱うということに相なります。それが、全く正当な戦闘員、捕まったときに捕虜となる者との大きな違いでございます。
 それで、先生がおっしゃいますように、それじゃ、とっ捕まった後どうするのということになりますと、これは、捕虜はなるたけ早く帰さなければいかぬということで、送還といいますか、本国へ帰国させるという時期がございますが、間諜等々の場合には、早く帰すということには相なりません。そういうような、実際に取り扱いに違いがございます。
 先生が今御指摘になりましたように、スパイをするならば日本だ、間諜するならば日本だということにならないようにというのは、これは取り扱いとはまた別の議論ではなかろうかというふうに考えております。不当に、不当にという言葉が適当かどうかは知りませんが、そういうもので拘留、抑留をした者を厚遇して、彼らにとって、やるならば日本だというようなインセンティブを与えておるというふうには考えておりませんが、ほかに何か改善する点があれば、御指摘を賜ればと思います。

○細野委員
 この分野については、御専門の首藤先生もいらっしゃるので、また改めて、この法案に限らず議論をする対象だと思いますので、これぐらいにしておきますが、正直、この法案を見ていて、そういう部分は違和感を持ちましたし、改善の余地があるんじゃないかと私は個人的には思っています。
 次の質問は、ごく簡単で結構なんですが、ジュネーブ条約上の保護対象に、これはジュネーブ条約第一議定書の五十六条一項に、ダムであるとか原発なんかが書かれているんですが、これはただし書きがありまして、ダムとか原発がそれこそ軍用に使われているようなケースはこれに該当しない、消滅をする、保護対象にならないという規定があるんですね。
 これは確認なんですが、日本に存在するダムであるとか原子力発電所は、これは保護対象になるという理解でよろしいですね。

○林(景)政府参考人
 軍事目標になるかならないかということにつきましては、あらかじめ、今、平時の時点におきまして定まるというものではございません。
 軍事目標の考え方というのは、基本的には、実際に武力紛争が発生しました後、その時点におきます総合的な状況から判断されるということでございまして、通常は民用物として使われているものが、ある状況、戦況と言えばいいかもしれませんが、によっては軍事目標になるということはあるわけでございますし、その平時において軍事目標であったものが、例えば、兵力、兵隊さんが全部いなくなって、そこを病院に使ってしまう、それなりの手続といいますか、標章をする必要はありますけれども、そういう手続を踏んで、それはまた民用物等、保護されるものになるといったことはあるわけでございまして、その時点その時点における総合的な判断ということでございますので、あらかじめ、今、どこどこのダム、このダム、これは全部、軍事目標ではございませんということを言うのは必ずしもできないわけでございます。

○細野委員
 いや、今の局長の答弁はちょっと問題だと私は思うんですね。だって、日本がどこかへ攻めていって、ダムとか原発を攻めるようなことをするなら話は別ですよ。でも、我が国は自衛権のみを行使するんだから、そういうことをしないわけでしょう。
 今私が聞いたのは、我が国のダムとか原発はそういう軍事的な利用に特化しているようなものはありませんねと。そういうことを攻められるときにあらかじめ言っておかないと、いざ戦争が始まって、いや、ここはだめですと言ったところで遅い可能性があるわけじゃないですか。今の答弁だと、いや、攻めてもいいかもしれませんよというふうに我が国がみずから白状したようなものじゃないですか。我が国はそういうことじゃないんですねと、我が国の状況を確認しているんです。

○林(景)政府参考人
 私自身、日本のダムの状況を全部承知しているわけではございませんけれども、もちろん、今の時点におきまして、いわゆる民生用に電力を供給していることで、通常の、例えば東京電力の方が詰めておられるというだけのものであれば、もし、たった今の状況で武力紛争というものが発生しました場合にそれはどう評価されるかということですと、それは、まさに民生用にしか使われていないということであれば、当然のことながら軍事目標にはならないということでございますけれども、これは、武力紛争が発生した後、それぞれの、例えば施設といったものをどういう形で使うのかということによっては、それは軍事目標になることがないということをあらかじめ申し上げることはできないということを申し上げているんです。

○細野委員
 では、これは大臣にぜひ御答弁いただきたいんですが、我が国が今一番恐れている某国もこの第一議定書を批准しているわけですね。そこが日本に届くミサイルを持っているわけですね。本当に今の局長の答弁でいいんですか。
 我が国の原発であるとかダムはそういうことには利用していませんよ、当然そういうことを認識した上で、まあ有事にならないのが一番いいわけですが、対応してくださいよということを言っておかないと。これは当たり前の前提としてですよ。もしかしたら、戦争になったら日本はそういうものを特化して使うかもしれませんよという答弁ですよ、今の局長のは。そこは、日本としては少なくともそういう認識を持っているということはおっしゃった方がいいと思いますが、いかがですか。

○川口国務大臣
 当然に、今、日本に存在をしているダムあるいは原子力発電所、そういったものは、今まさに平時で日本は民生用に使っているわけでして、軍事用に使っているわけでは全くないわけです。これはもう本当に明確なことであるわけです。
 それで、ジュネーブ諸条約との関係でいいますと、一項に書いてあることは、軍事目標である場合であっても、その結果、ちょっと飛ばしますけれども、いろいろあって、攻撃の対象としてはならないというのが一項に書いてある。それで、二項で、そういった特別の保護が消滅をする場合ということを定めてあるわけでございます。
 それで、そういったことにそれが具体的に当てはまるような状況があるのかないのかということについては、それはわからない部分というのがあるということですけれども、現在、我が国の原発あるいはダム等々は全部、平和的な利用のために、民生用に使われている、そういうことでございます。

○細野委員
 我が国は先制攻撃をすることはないわけですから、平時においてそういうことがなされているということは、そこは国際法上は先制攻撃をされないということは私は少なくとも確認をしたかったものですから、今、相当突っ込んで答弁をいただきましたが、今の御認識であれば、そういうことはないということで、とりあえずこの件は結構かというふうに思います。
 それで、ジュネーブ条約に関して、引き続きやっていきたいんですが、私が今ちょっと関心を持っておりますことは、このジュネーブ条約の第一議定書、第二議定書に書いてあることと米国の軍事教範に書かれていることがどういう違いがあるのかということをぜひ考えてみたいなというふうに思っています。
 私、軍事教範を取り寄せまして、全部は読みませんでした、相当難しかったので。全部は読みませんでしたが、該当しそうな部分をいろいろと見てみました。それなりにきちっと書いてあるところもあれば、ジュネーブ条約とは、特に第一議定書とは差があるなというところもあるんですね。
 外務大臣が、本会議場で、軍事教範に書かれているので、日米が共同で戦うときもそういうことは問題になりませんという御答弁をされたんですが、一方で、軍事教範の解釈はアメリカがするので外務大臣はその資格がありませんという趣旨の答弁もされているんですね。私、これは明らかに矛盾していると思っていまして、ともに戦うのであれば、では、そういうジュネーブ条約の第一議定書に書かれていることとどの程度の整合性のあることを米軍は行動としてとるんだろうかというところは、少なくともこれはきちっと確認をしておく必要があるだろうというふうに思っています。
 ジュネーブ条約本体に、そもそもアメリカが批准している部分に関して守っているか守っていないかというのは、これはいろいろ問題があります。今の捕虜の取り扱いなんかでもいろいろ問題になっていますが、そことはまた別の次元として、別のルールとして議定書は存在するわけですが、そこの整合性についてきちっと確認をする必要があると思うんですが、外務大臣、ここの部分について基本的な考え方をまずお聞かせください。

○川口国務大臣
 前回、私がその軍事教範との関連で申し上げたことが、少しその前半のきちんとした考え方のところをはしょって申し上げることになって、その分、若干ミスリーディングであったかもしれないと思いますので、その基本的な考え方のところから申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 まず、委員が、今、問題ではない、そこを問題にしているわけではないというふうにおっしゃられましたけれども、そもそもということで、それにちょっと触れさせていただきたいと思います。
 まず、米国は、ジュネーブ諸条約の締約国であるということでございますから、当然に、国際社会の責任ある一員として、ジュネーブ諸条約上の義務、これは誠実に遵守をするということであると考えます。それから、追加議定書、第一追加議定書の締約国では米国はないということですけれども、米国は、米軍は、第一追加議定書の規定に反映をされた国際人道法の基本的な考え方、これを踏まえて行動すると承知をいたしております。
 例えば捕虜について例にとって申し上げますと、これは第三条約ですから、第三条約上の義務に従って行動する米軍が捕虜に対する虐待を行うということは本来想定をされない。国際法を守るというのは国際社会の責任ある一員の義務ですから、本来それを破るということは想定されないということであるわけでして、ですから、条約を締結している部分については当然に守る、追加議定書等で締結をしていない部分についても、慣習国際法として確立をしている部分、例えば軍事目標主義というのもそういうことですけれども、そういう部分については米国は当然に守るということであると思います。
 ですから、軍事教範ということについて、そういうことをいろいろ書いてあるわけですけれども、軍事教範の話に行く以前の問題として、締約している諸条約については守るし、それから、国際的に慣習法として成立をしている部分、これについては守るということであります。
 それで、軍事教範について、これは米国の文書であるので、日本政府として確定的な解釈を行う立場にはないということを申しましたけれども、それは全くそういうことでございまして、これは米国政府の文書なのでそういうことであるということでございます。
 その上で、もし何か食い違いがあるようなことがあれば、これは日本として、こういった武力行使が行われるような事態、あるいはそれがその近くに迫った事態、これは調整メカニズムを立ち上げるということでもありますし、それから、それ以前から頻繁にお互いに話し合っている、協議をし合っているという関係でございますから、そういうことを通じて、違いがある場合には全部調整をしていく、そういうことであろう。
 これが基本的な考え方でございます。

○細野委員
 今、基本的な考え方を示されましたので、一点だけ具体例を示して外務大臣に伺いたいんです。
 文民の保護に対する規定が両者にあります、第一議定書にもありますし、軍事教範にもあるんですね。そこの部分を読んでみますと、私からすると、相当な差があるなと。
 両方、文民を攻撃の対象としてはならないということが書いてあるんですけれども、この第一議定書にはこう書いてあるんですね。無差別攻撃はしちゃいかぬ、無差別攻撃の具体的な例としては、特定の軍事目標のみを対象としない攻撃、特定の軍事目標だけを対象としない攻撃、これは無差別攻撃でだめですよと書いてあるんですね。それを裏づけるような規定が二重三重になされていて、要するに、文民をいかに保護するかという観点から書かれたのがこの第一議定書なんですね。
 一方で、この軍事教範を見ていると、確かに、これは具体的にはディフェンデッドプレイシーズとなっているんですが、攻めてはいけないところ、これの定義が書かれていて、駐屯地は攻めていいけれどもその周りはだめですよとか、そういうことが書いてあるんですが、その最後にこういう規定があるんですね。
 そのディフェンデッドプレイスの中に独立した市や町が入ってしまった場合は、分離したそのディフェンデッドプレイスの中にある市や町は不可分の全体として防衛域とみなされる可能性がある、つまり、攻めてもいいですよというふうに書いてあるんですね。要するに、全体が攻めるに該当する場所で、その中に孤立した町なんかが入ってしまった場合は、これは例外で攻めてもいいですよと書いてあるんですよ。これは明らかに日本の今批准をしている第一議定書と米国の持っている軍事教範の違いなんですね。
 恐らくは、イラクで起こっていることというのは、軍事目標を確かに主に攻めているんでしょう。そう信じたいと思います。ただ、そこに例えば孤立した町があったり施設があったりした場合は、それは不可分一体のものとして米国は今攻撃しているんですね。ジュネーブ条約はそれを禁じているんですよ。
 ここについての条文の差がある、規約に差があるということについて、外務大臣、どう認識されていますか。

○林(景)政府参考人
 今、軍事教範とジュネーブ条約第一追加議定書との差ということでおっしゃっておられるわけでございますけれども、実際の問題といたしまして、日米、仮に日本がこのまま第一追加議定書について御承認をいただいて加入するということになりますれば、アメリカは第一追加議定書の締約国ではない、したがって、法的にぎりぎり言えば、その間に、第一追加議定書の規定そのものは、いわゆる慣習国際法化している部分を除いてはアメリカはこれを遵守する法的義務は負わないという意味で、確かに、法的なスコープといいますか範囲といいますか、そういうものについて落差が生じるということは事実だろうと思います。
 しかしながら、この種の武力紛争におきまして具体的にどういうふうに対応するかということにつきましては、これはまさに、そういう法的な落差というものを踏まえて、具体的な事実、状況に応じまして、今、イラクのファルージャの例をお出しになりましたけれども、日米で共同対処する場合に、具体的な事案に即して、それがそれぞれの義務というものに照らしてどれだけの差があるのかということを緊密に調整して、相互に法的規範に違反することのないように行動するという形になっていかざるを得ないというふうに考えております。

○細野委員
 いや、局長、規範が違うということを前提に調整するって、本当にできるんですか。のっとる規範が違うんですよ。局長、もう結構ですが、のっとる規範が違うものがあるにもかかわらず、それを調整メカニズムでやるんですというのは余りに非現実的な話だと私は思いますよ。
 長官にお伺いしたいんですけれども、一緒に我が国を守る、軍事行動をしなきゃならないことが起こる可能性があるわけですね。日本の場合は国内を守る。盾と矛の関係でいえば、盾の形になるわけですね。矛は米軍に任せるということになった場合に、例えば米軍が、攻撃を受けた国に対して、要するに、アメリカの教範に基づいて、今、例に挙げたような、そういう文民の攻撃も一部なされるような可能性があるというケースは想定し得るわけですね。そうすると、敵国が我が国に対して、当然、ジュネーブ条約を守らない部分での攻撃について報復をしてくるという余地は十分あり得るし、オペレーションの部分でもいろいろそごが出てくる可能性は私はあると思います。
 長官にまずお伺いをしたいのは、そういう部分で、本当にこれは別のルールにのっとっても大丈夫なんですかということ。済みません、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

○石破国務大臣
 それはできるものです。
 それで、私どもは、自衛権が及びますのは、基本的に、我が国の領土、領空、領海そして公海まででございますから、我が国が合衆国とともに海外の領土におきまして、ほかの国の領土におきまして共同作戦というのは基本的に想定されないわけでございまして、基本的に国内において共同行動をとっております場合に、委員御指摘のようなケースというのがどういう場合に起こり得るのか、ちょっと即座には理解をしかねておるところでございます。
 いずれにいたしましても、調整メカニズムを通じまして、たとえのっとっておるものが全く一緒でないとしても、それは調整をとるということは、可能というよりも、そのためにこそ調整メカニズムはあるというふうに私は理解をいたしております。

○細野委員
 今ちょっと横から専門家の末松先生もおっしゃっていますが、私も調整メカニズムの話じゃないと思います。防衛庁長官としては、担当大臣ではないので、必死に調整メカニズムでやるという御答弁はやむを得ないと思いますが。
 外務大臣にお伺いしたいんですが、これは国会図書館から取り寄せたんですが、米軍の法務官の学校で出ているハンドブックなんですね。これによりますと、ジュネーブ条約のこの部分は大丈夫ですねということが随分きちっと書いてある。ジュネーブ条約については、特に第一議定書について、これは批准の余地があるという議論がアメリカ国内でも随分あるんですね。
 日本はともに軍事行動をとるアメリカに対してこの第一議定書の批准を求めていくべきだと私は思いますが、外務大臣、お考えをお聞かせください。

○川口国務大臣
 ジュネーブ条約第一追加議定書を批准するかどうかということについては、これは、アメリカ国内でもいろいろな意見があるということであると承知をいたしております。これは、アメリカの国内の問題として、アメリカが議論をして結論を出していくことになると思いますけれども。
 我が国が、共同対処をするために不都合であるということで、米国に対して追加議定書を求めるべきかどうかということについていいますと、これは、アメリカはいろいろな国のいろいろな軍と共同対処あるいは行動をともにしてやっているわけでございまして、アメリカは第一追加議定書を結んでいない、ほかの国は結んでいるというケースは今までたくさんあるわけでございます。そういった状況において、事実上、実際にそれが大きな障害であった、不都合な要因であった、したがって、ほかの国はアメリカに対して第一追加議定書を結ぶべきであるというふうに考えている、そういったケースには我々は今のところ遭遇をしていないということであります。
 現実問題として、追加議定書を結んでいないアメリカと、結んでいる国との間の今までのいろいろなケースで、これは問題が生じなかったケースということでして、我々は、その理由をもって、第一追加議定書を米国に締結してほしいということを言うことは今のところ考えておりませんけれども、米国においてきちんと議論をしていただいて追加議定書を締結するということであれば、これは歓迎をしたいというふうに思います。

○細野委員
 今、最後に、歓迎したいという一言がありましたので、これ以上答弁は求めませんけれども、オペレーションの部分でいろいろ、どういうそごが生じるのかというのは、正直、私は専門家ではないのでわからない部分があります。
 ただ、米国がジュネーブ条約のこの部分を批准していないことというのは、多分、今まさにイラクで問題になっていることとこれはつながっていると私は思います。少なくとも、この教範を読んだ立場からいうと、つながっていると私は思いました。その部分も含めて、もう少し日本として、全部表で言えとは申しませんが、きちっとした交渉をしていただいて、私は、ぜひ求めていただきたいな、そのことだけ最後に申し上げておきたいというふうに思います。
 時間が少なくなってきましたので、最後に、私が個人的にこだわっております指定公共機関の話、井上大臣そして麻生大臣、済みません、随分お待たせしましたので、お伺いをしていきたいというふうに思っています。
 この指定公共機関の話、去年の国会でも随分と議論されています。当時の担当大臣は、おやめになった福田官房長官がやられていまして、何度か答弁があるんですが、その中で一番確実に福田前官房長官の見解を反映しているのが、委員会に配付をされた資料だと思うんですね。その中ではこういう記述があるんですね。指定公共機関についてですが、「民間放送事業者が指定される可能性はあるが、現時点では、日本放送協会を主として考えている。」そういう答弁もあるし、委員会配付資料もあるんですね。
 それと比較すると、井上大臣は、はっきりこう言われているんですね。民放についてもNHKと同じように指定をしたいということをおっしゃっている。これは明らかに、指定をしないとは福田官房長官もおっしゃっていないんですが、そのときはNHKに特定をすることをにおわせているような答弁をされているので、見解が変わったんだろう、もしくは、よく言えば確立をしたんだろうというふうに思っています。答弁がニュアンスが変わっているのは、これは何でですか。

○井上国務大臣
 委員がおっしゃいますように、最初、政府見解として出しました中には、おっしゃるとおりの記述がございます。NHKを主として考えていくということでありまして、この中におきましても、民間放送機関を排除しているということにはなっていないわけでありますが、その後の委員会で、福田官房長官は、やはり民放も含めて考えるという答弁をしておりまして、もう既に福田官房長官時代から民間放送機関に言及した考え方をとっているわけでありまして、今回の法律におきましては、私ども、その考えを受けまして申し上げているわけでございます。
 要は、緊急事態でありますから、こういう緊急事態をできるだけ迅速に国民の皆さん方に伝えていくということが必要だと思うのでありまして、そういう場合に、やはり放送機関が一番手っ取り早いわけですね。それで、NHKが最大の放送機関だとは思いますけれども、しかし、他の放送機関も、全国を対象に放送しているところもありますので、ぜひそういう民間放送機関にも御協力をいただきまして緊急事態を適切にかつ迅速に放送していただきたい、こういう考え方でいるわけでございます。

○細野委員
 災害対策基本法の指定公共機関にはNHKしか入っていないんですね。民放が入っていないんですね。こちらは民放を入れないんだけれども、国民保護法制の方では入れる理由は何ですか。

○井上国務大臣
 これはまさに日本の有事でありまして、主として局地的に起こるような事態とは違うわけでありまして、できるだけ広く多くの国民に知っていただきたい、こういう考え方から、NHKだけではなしに、大きな民間の放送機関につきましても指定公共機関として指定をいたしたいと考えておりますし、その点については、ぜひ、私も放送機関の団体の方とお話をいたしましたけれども、御協力をお願いいたしたいというふうに考えております。

○細野委員
 もうある程度意思を決められているので、これはちょっとひっくり返らないのかなという感覚を、私も何度も事務方の方ともやりとりをしておりまして、残念ながらそう思っておるんですが、民放を指定するということになると、これは結構大変なんですね。
 なぜかというと、民放というのは、キー局があって、そこが全部、全国津々浦々放送しているわけではなくて、準キー局が大阪、名古屋なんかにあって、さらにローカル局が地方に存在をしておって、その系列で放送を流しているんですね。
 井上大臣、全国に流したいとおっしゃるけれども、キー局を指定したところで、その時間に流してくれと言ったところで、そこの時間帯に例えばローカル局と接続をしてダイレクトに番組を流していなければ情報は流れないんですね。ですから、大臣がおっしゃるようなことを本気で実現しようと思えば、要するに、そういう系列局もすべてこれは指定公共機関、地方がですよ、国が指定すると同時に地方も指定をするということになるんですが、そこまで考えていらっしゃるんですか。

○井上国務大臣
 すべての民間放送機関を対象にするという考えはございません。あくまでNHKと大きな放送局を対象にするということでありまして、各地方ごとにあります放送局につきましては、これは都道府県知事の判断によるわけでありますけれども、指定地方公共機関として指定される、その可能性はあると思います。

○細野委員
 いや、そこがばらばらじゃ余り意味ないですよ。だって、東京のキー局を指定したって、流れるのは本当に東京の周りだけで、せいぜい関東ですよね。全国に全然流れないじゃないですか。さっきの災害は全国じゃないけれども、それこそ有事は全国なので、全国に流したいという話と矛盾しませんか。

○井上国務大臣
 それぞれのキー局がどの程度の地域にまでこの中身を流すかにつきましては、それは差があろうと思うのでありますけれども、しかし、東京周辺だけに緊急情報を流しまして、地方は全く流さないということもないと思うのでありまして、私どもとして、できる限り広範囲に流される、そういう情報が伝わるということを期待いたしまして主要な民間放送機関も指定公共機関にするわけでありますけれども、それは強制するわけにまいりませんので、どこそこまで流してほしいということを強制するわけにまいりませんので、全国的にかなりの広範囲に報道がなされるであろうということを期待いたしまして指定公共機関として指定をさせていただきたいというふうに考えているわけであります。

○細野委員
 指定公共機関に指定をして警報を流すという意味では、その指定をした時点でそこまで踏み込まないと逆に意味がないんですよ。全国、同じ放送を流している時間なんというのは、実は限られているんですね。これは、井上大臣、理解されていますか。六時のニュースとか十二時のニュースとか、そういうのは全国ニュースで流しますが、それ以外のときは録画を撮ったりいろいろしたりして番組を相互に提供し合っているのが民放なんですよ。
 期待をするも何も、井上大臣がおっしゃっていることを貫徹するのであれば、指定公共機関にキー局を指定して、そして、そのキー局とローカル局の関係においてもきちっとそういうことをしてくださいねというところまでガイドラインをつくらない限り、全国に放送なんか流れないんですよ。そこまで立ち入る権限を指定公共機関を指定した瞬間に政府は持つんですか。そうじゃないと流れないんですよ。期待をするなんてものじゃないんですから。そこを、しっかり考え方を現時点で示しておいてください。

○井上国務大臣
 国としては、どこまで、どこの地域に画像が届くようにというようなことを強制するわけにはまいりませんので、あくまでそれは国として期待をするということでありまして、そういうことが期待できるような大きな民間放送機関を指定公共機関として指定するわけでございますけれども、さらに進んで言いますと、指定公共機関に指定をいたしますと業務計画というのをつくることになっておりまして、そういう中で、恐らくはそういった大きな局はそういったことに関する記述があるんじゃないか、こんなふうに考えます。

○細野委員
 決して揚げ足をとるわけじゃないんですけれども、今の大臣の答弁というのは、キー局のローカル局に対する影響力を物すごく強化することにつながりますよ。キー局とローカル局の関係というのはケース・バイ・ケースなんですね。資本関係があるところもあれば、役員を送っているところもあります。番組の提供をかなり受けているところもありますが、独立をして契約に基づいて一部放送しているところも今いっぱいあるんですね。業務計画をつくる中で指定公共機関たるキー局がそこまで権限を持つということになると、その時点で、これは民間に対して物すごく強い介入ですよ。
 そこはきちっと考え方を整理していただいて、ローカル局とキー局に対してどういう指定をしていくのか、その関係に本当に立ち入るのかどうか。私は立ち入るべきじゃないと思います。そこをもう一回答弁いただけないですか。

○井上国務大臣
 国がキー局とローカル局の関係を強制していくということは、これはできないことでありまして、委員も御承知のように、この指定公共機関というのは、みずから、自主的に業務計画をつくってくるわけでありまして、そういうものを前提として私どもは緊急情報を流していきたい、ぜひともそういったことに協力をしていただきたい、そういう立場でありますので、今御指摘のようなことは国としては強制をしてやっていこうとする考えはありません。

○細野委員
 麻生大臣にも来ていただいているので。具体的な運用については、多分、総務大臣がされるようなことになると思います。今の部分についての考え方を一言御答弁いただけますでしょうか。

○麻生国務大臣 基本的な考え方として、いわゆる武力攻撃事態等々の非常事態等々におきましても、表現の自由等々、国民の自由と権利、そういったものに関しましては、そういったものは尊重されるのが当然でありますので、政府として報道の自由に関しましてはできる限り尊重する、当然のことだと存じます。

○細野委員
 この部分について指定をされるのであれば、今のような懸念を、ぜひ担当大臣としても、総務大臣としてもお考えをいただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。
 最後に、もう一つお伺いをしたいのが、指定公共機関になった場合に出てくる大きな問題というのは、私は、業務計画の部分じゃないと正直思っているんです。といいますのは、平時において業務計画をつくって、いろいろな助言をされるとか報告をするとかいう部分は、落ちついた議論ができるんですね。メディアの側にも反論の余地はありますし、そこは私は正直余り心配をしていません。
 むしろ心配をしているのが、この武力攻撃事態法の中に書いてある、この十四条の総合調整機能を持つ、すなわち、有事になったときに、指定公共機関に指定をされておれば総合調整の対象になって総理から総合調整されるんですね。この総合調整というのは一体何だ、どういうことがされるんだということに関しては、これは有事ですから相当強い権限にもなり得るし、抑制的にもなり得る、非常に幅があるというふうに思っています。
 ここで言う総合調整というのは、大臣、どういうことを考えられて、何が行われるのですか。

○井上国務大臣
 確かに、対策本部長の総合調整権限というのは、いろいろな権限の行使の仕方がございます。
 例えば、指示をする、あるいは代執行するまでに至る、そういう総合調整もあれば、指示にとどまる総合調整もございますが、放送機関につきましては、そういうこともないわけですね。そういうこともないわけでありまして、つまり、総合調整といいましても、例えば、これは具体的にいろいろなケースがあろうと思うのでありますけれども、できるだけ早く放送してもらいたいとか、そういった言ってみれば助言といいますか、その類のものと考えていただいていいと思います。
 放送機関に対しまして、総合調整があるからといって、指示をしたり強制したりするということは考えておりません。また、そういうことは法律でなければできないわけですよね。そういう法律の規定を置いておりません。

○細野委員
 総合調整というのは、実は、対策本部長たる総理と各省庁との関係にも同じように使われているんですね。例えば、私がさっきちょっと質問したような、医療機関を所掌する厚生労働省の省に対する指揮権なんかも総合調整という言葉になっているんです。
 指揮権とあえて申し上げたのは、調整といったって、有事の際は各省庁に本部長が指示を出せないとどうしようもないんですよ。そこの部分は、別に各省庁に対して代執行権があるわけでもなければ指示権はないんですね。総合調整とだけ書いてあるんですね。そのことによって、恐らくは強い、指示権に近いようなものがなされるだろうということは容易に想像がつくんですよ。
 そういうことは法律に書いてないとおっしゃるけれども、各省庁に対する権限と同じものを指定公共機関に課しているんですよ。これは強い権限になり得ると思いますが、大臣、どうお考えになりますか。
 それと、時間もないので、最後にもう一つ。代執行と指示権に関しては法律の規定がないので、この十五条については指定公共機関は指定されません。それは私も承知をしています。これは将来においてもこの部分での改正をするつもりはありませんね。これは非常に重要な部分だと思っていますので、あわせて答弁をいただきたいと思います。

○井上国務大臣
 この対策本部長の、対策本部長というより内閣総理大臣とわかりやすく申し上げますと、各省大臣に対する指揮権というのは、これはそれとして、そういう手続をとればできるわけでありまして……(細野委員「いや、同じ権限ですよ、総合調整なんだから」と呼ぶ)同じ権限ですよ、総合調整だけれども、その総合調整の中身が、中身につきまして、各省大臣を監督する場合のその権限と、こういう指定公共機関に対する総合調整というのは違うわけでありまして、今のお話のように、将来ともにやるかどうかというのは、それは将来の問題ではありますけれども、今のところ、そういうことを、総合調整のもとにおいて、強い総合調整の権限のもとにおいて業務内容を規制していくようなことは考えておりません。

○細野委員
 ちょっと時間がまだあるので、最後に。
 では、代執行と指示権について、十五条の部分の改正は、指定公共機関の放送事業者に関してはしないという答弁でよろしいですね。

○井上国務大臣
 将来どういう議論が起こるかわかりませんけれども、私としては、そういうことはないと思います。

○細野委員
 時間もなくなりましたので、最後に、私の考え方だけ申し上げたいんです。
 私は、有事において国民の協力は必要だと思います。ある部分ではそこに責務を課すようなことも必要だと思いますので、災害のときよりもむしろ国民の協力を緩やかにしているようなこの法律は、正直、いろいろな意味で問題があると思っています。
 ただ、ここだけこだわるのは、結局、取り返しのつかない価値観として、日本の多様性をどう守るかとか、多元性をどう担保するかとか、こういう部分に対しての保障というのは、石破長官は首をかしげられているけれども、いろいろな意味で、これは、この部分では侵される可能性が十分にあり得るんですよ。平時においては想定できないことがあり得るんですから。この部分についての価値をとにかく大切にしていただいて、国民の協力はもちろん求めなければなりませんけれども、こういう何かの事態が生じたときにそういう価値観が侵されるようなことがないようにという配慮だけは、法律をつくられた責任として、今、四人お並びになっていますが、ぜひお願いをしたい。
 そのことを最後に申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。