○細野委員
おはようございます。民主党の細野でございます。
きょうは、この国土交通委員会で海洋基本法を中心とした海洋二法について御議論いただくことになっております。一般質疑という形ではありますが、こういう貴重な機会をいただいたことを心より感謝しつつ、国会にもどうしてもセクショナリズムみたいなものがございまして、この国土交通委員会では十分事前の調整ができない部分がございまして、今回、委員長そして理事の皆さん、そして委員の皆さんに格段の御配慮をいただいて、この法案を急遽こういう形で上げていただくことになったということに関して、まず冒頭感謝を申し上げたいと思います。
今回、この二法案が議論されるきっかけでございますが、海洋基本法案にはさまざま所掌の範囲というのがあるわけですが、その中でも、東アジアでの中国との海洋権益の争いが非常に熾烈になってきたことがこういう二法案を後押しする一つのきっかけになったことは、紛れもない事実だというふうに私は認識をしております。
冒頭、法案の中身に入る前に、先週の二十九日に日中の局長級協議が行われておりまして、その状況について、交渉の当事者である資源エネルギー庁長官、望月長官が来られていますので、お伺いしたいと思います。ポイントを絞って聞きます。
経済産業省そして外務省から来た報告によると、日中は一年間交渉が滞っておったわけでございますが、今回中国側から一部建設的な意見も出されたという記述があるんですが、この建設的な提案が中国からなされたという、この中身はどういうものでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○望月政府参考人
お答えいたします。
共同開発に向けた道筋につきましての意見交換の中で、中国側から一部建設的な意見も出されたわけでございますけれども、全体としては、今後さらなる協議が必要であるということが、私ども交渉参加をいたした者の判断でございます。
建設的な意見ということにつきましては、基本的には先方が共同開発について柔軟な姿勢を示しているということでございまして、その具体的な中身につきましては、交渉の途上でもございますので、控えさせていただきたいと思っております。
○細野委員
三回目の協議で日本側も共同開発について提案をしておりまして、それは事実は全部明らかにしているわけですね。日本側はどういうカードを出したかというのを明らかにしていて、中国側がどういうカードを出してきたかについては明らかになっていない。情報がそこで非対称になっているという問題があります。
中国側の意向もあるんでしょうから、全部説明をしてくれとは申しませんが、では、長官に確認をしたいんですが、従来、中国側は、日中の排他的経済水域の中間線から日本側だけを共同開発というふうに提案をしていたと承知していますが、そこから一歩踏み出した提案があったかどうかという確認が一つ。
もう一つは、日本側が従来からずっと主張してきた、中国側が中間線付近で開発をしている、春暁油田がよく例に出ますが、こういう中間線付近での開発について情報提供をせよと日本側は盛んに主張してきたはずですが、その情報提供があったのかどうか。
この二点、確認させてください。
○望月政府参考人
お答え申し上げます。
共同開発につきましては、先生御指摘のように、大事なポイントは幾つかあると思いますけれども、まず第一に、どの地域を共同開発するのかというのが議論の出発点であろうかと思います。
八カ月間、この間、公式な交渉はなかったわけでございますけれども、その以前に私どもが提案をしていたものは、先生御指摘になられましたように中間線に深くかかわる部分についての提案であったということでございます。その後、共同開発についての地域の議論をするに当たって、双方、中間線議論、あるいは先方は、沖縄トラフまでという先方のEEZについての主張を、言ってみれば横に置きまして、双方の歩み寄れる余地を考えようという議論をしていたわけでございます。
そういった面で、共同開発の地域についても、双方歩み寄れる範囲はどこだろうかということについて、先方の言いぶり、姿勢というものが少し柔軟であったというふうに感じたということでございまして、これについて、先方の真の主張についてもう少したださなきゃいけないということもございますので、その具体的な中身について今申し上げますと、交渉の進展に悪影響があろうかというふうに思っております。
したがって、そこについてのさらなる折衝が、やりとりがこれから必要であろう。私どもとしても、先方の主張の核心が那辺にあるかということについて、必ずしも十分まだ理解していないところであるというのが正直なところでございます。
それから第二点の、情報提供の問題でございますけれども、これにつきましては、その第一歩として、技術専門家会合を開くということを先般来実は合意をしていたわけでございますが、開かれていなかった。これについて、できるだけ早急に、できれば今週中にでも開きたいということで先方と合意をしたわけです。今、曜日を確定している最中でございますけれども、近々これは開かれるということでございます。その場において、技術専門家の間で話し合われることといえば、双方の情報についての意見交換ということになるのが必然ではないかと思っております。
○細野委員
外務省は一部建設的な意見と、そして経済産業省も建設的な意見と言うからには、今柔軟という表現がありましたが、そこからどういうふうに踏み出したのかということについて、少しは何か感覚があったのではないかと私は思ったんですが、今の御答弁を聞く限り、中国側から、日本側も受け入れ得るような共同開発の提案が具体的にあったようには私は感じません、聞き取れませんでした。
さらに言うと、情報提供をずっと数回にわたりまして日本側が求めてきた中で、専門家会合をつくるとかなんとか、そういう形をつくりながら、ある種先延ばしにされ、じらされてきた問題なわけですよね。言うならば、日本側はこの問題についてはアクションを起こさないでずっと控えてきて、中国側は開発を続けてきた中で、交渉が今のこの時点で陥っているということについて、エネ庁長官は交渉当事者でありますからなかなか言われにくい部分があるんだと私は思いますが、やはりもう少し厳しい認識を持つべきだというふうに私は思います。
一つだけ最後に確認をしたいんですが、資源エネルギー庁としては、既に試掘権の設定については与えているわけですね。日本側も開発の意思を持つ業者が存在し、そしてそこでもう準備も進めてきている、業者としては。これは、資源エネルギー庁として、そろそろその可能性をきちっと探って、業者が勝手にやれる水域ではないですから、資源エネルギー庁としてもしっかりと試掘をする業者の後押しをして、それをやっていくべきではないかと私は思いますが、エネ庁長官として、その辺の御所見をお伺いしたいと思います。
○望月政府参考人
試掘を実施するか否かにつきましては、基本は鉱業権者たる民間企業の判断によります。今のところ、政府からは、試掘権設定の許可を行った際に、試掘を実施する場合には前もって私どもに御連絡いただきたいということになっているところでございます。現時点では、その具体的計画については伺っていないところでございます。
もちろん、私どもとしては、そういう希望が伝えられた場合には、周囲の状況をよく分析いたしまして、私どもなりにその日本の企業に対して十分に相談に乗っていきたいというふうに思っているところでございます。
○細野委員
きょう恐らく衆議院を通過するであろうこの海洋二法案は、試掘をするときに安全水域を設けてそこをしっかり守れるようにという、ある種国家の意思として、国家というのは国会、国民の意思として、それを後押しする法案という意味もあるわけですよね。
政府としていろいろ交渉の過程であるのは承知をしていますが、この間、長官がこの交渉に挑まれる前にも強調しましたが、私が申し上げたいのは、ある程度日本側が、試掘権の設定にしても排他的経済水域の視察にしても、アクションを起こしたときに日中交渉は前に進むのであって、せっかく国会がこれだけ大きな意思決定をするわけですから、それを生かして日本側としての主張をきっちりすべきであるということは再度強調しておきたいと思います。きょうは、そういう意味では、一つのきっかけになる日でもありますから、再度そのことを申し上げておきたいと思います。
きょう成立をする二法案について、若干質問をさせていただきたいと思います。
この基本法案は、ずっと議員立法に近い形で進めてきたという経緯がございまして、我が党としても一年半以上前にもう既に海洋に関する別の二法案を提出して、ある種それは国会の中でたなざらしにされてきた、そういう部分がございました。今さらそれを恨み節で言ってもしようがないですから、前向きにこの二法案を受けとめて、我々としても当然賛成の方向でございますが、やはりこの法律をつくる意味というところはしっかりと押さえた上で成立をさせたいという思いが非常に強くございます。
先ほど何人かの委員の方から、海洋政策本部をつくって総合的にやるんだというお話がございましたが、こういう総合調整というのが、日本の場合は、縦割りの弊害がよく言われている中で、なかなかうまく機能しないということがよくございます。
きょうは海上保安庁長官にも来ていただいているので、まずそこを御答弁いただきたいんですが、今回、海洋政策本部ができた場合に、海洋政策本部のある程度の意思が計画という形で出てくるわけですが、この海洋政策本部と海上保安庁の関係、これがどういうものになるのか、これは現場の指揮官でもある海上保安庁長官にお伺いしたいと思います。
○石川政府参考人
海上保安庁は、もとより政府の一員でありますし、国土交通大臣の指揮監督下にございます。そういう意味で、まず、基本法が成立すれば、国土交通大臣が総合海洋政策本部員として参画されまして、そこで海洋基本計画の作成あるいは実施の推進、それから総合調整ということを大臣がされるわけでございます。また、必要に応じ、私もその本部において意見の表明あるいは説明ができると考えております。
そういう中で、したがいまして、総合海洋政策本部が策定する基本計画あるいは総合調整に海上保安庁としては従って、他の行政機関とも緊密に連携をとりながら、この法律の施行に努めてまいりたいと考えております。
○細野委員
非常に明確に御答弁いただいたので、今の答弁は非常に私どもとしては重く受けとめたいと思います。
この海洋基本法なんですが、本部にはこの基本計画をつくる総合調整機能を持たせました。もう一つは、その基本計画を実施する総合調整についてもこの本部にやらせることになっているわけですね。つまり、例えば資源開発において、国家として例えばこの東シナ海の問題についてきちっと確保していくんだということになった場合には、当然、海上保安庁には、その資源を開発するために守りを固めていただかなければならない、そういう機能を担っていただくことになります。これを、先ほど官房副長官からは司令塔としてという御発言もありましたから、しっかりと踏まえてやっていただきたいというふうに思います。
もう一つ、これは大臣にお伺いしたいんですが、先ほど大口委員からの質問に対して、海上保安庁を持つ国土交通省は海洋に関する政策をいろいろたくさん所掌しているので、国土交通大臣が担当大臣としてある程度ふさわしいのではないかという御発言がありました。
実は、失礼ながら、私は余りそういうふうには思っていません。むしろ、海上保安庁は海上保安庁でいろいろな仕事をやっていただく、これは結構であります。ただ、その一方で、この問題は、資源にもかかわるし、水産にもかかわるし、環境にもかかわるし、外交にもかかわるからわざわざ本部をつくったわけですね。それを、海上保安庁を所掌している大臣がそのまま横滑りでやられるということになると、何のために総合調整をさせる機関をわざわざ官房の中につくったのかというこの趣旨にも私はもとると思っていまして、大臣の立候補はそういう意味では、立候補と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、ちょっと、正直言いましていただけないなという思いがございます。
その辺も含めて、今海上保安庁長官からも御答弁がありましたが、総合調整をする意味で、国土交通省として、受ける側としてどういうふうにお感じになっているか、簡単で結構でございますが、御所見を伺いたいと思います。
○冬柴国務大臣
海上保安庁の仕事は、海上警察行政、すなわち密航や密輸の取り締まり等でございますが、それとともに、海上交通安全行政をやっております。これは、船舶の航行安全あるいは海難救助、それから海に関する情報提供等でございます。そのほか、海上環境保全行政もやっております。これは海洋汚染防止等ですね。それで、人員や巡視船艇、航空機の運用を含めて、一体的にそのような仕事をしているわけでございます。
反面、これらの行政につきましては海事行政あるいは港湾行政とも密接な関係があり、連携しなければできません。例えば、海事関係者とか港湾管理者に対して、海事部局というのが我が方にはありますが、あるいは港湾部局から必要な措置を義務づけるということも必要でございます。そういうものにつきましては、海上保安庁の情報分析に基づく対策や発生時の対応についての連携あるいは訓練を実施することも必要となっております。そういうことから、海上保安庁は、我が国土交通省の他の部局と一体的に仕事をしている部分が非常に大きいわけでございます。
そういうところをかんがみれば、海上保安庁は国土交通省のもとに置くことが適当であるというふうに考えているわけでございます。
他国の例を見ましても、韓国の海洋警察庁は海洋水産部というところに属しておりますし、ロシアにおかれても運輸省外局であるところに属しておりますし、米国におきましても国土安全保障省に属しております。運輸省にあったわけでございますが、そういうことです。フィリピンも運輸省。それから中国も、中国交通部海事局というところで行っています。カナダも海軍と各州警察が行っております。インドも国防省に属しております。
そういうことで、どこかに属しておるわけでございまして、日本では国土交通省に属していることが他の部局との連携から必要であろうということでございます。
○細野委員
大臣、私が伺いたかったのは、海洋政策いろいろある中で、国土交通省がその全体を取り仕切るという考え方は捨てていただいた方がいいですよということを申し上げたので、その考え方についてお伺いしたかったんですが、結構です。
今せっかく、海上保安庁が国土交通省の中にあるのはどうかという次に私がしようとした質問について、あらかじめもう答えていただいたので、それについてお伺いしますが、今回、海洋基本法ができることによりまして、より海上保安庁には、この海の問題、鉱物資源だけではなく水産資源も含めて、安全の問題にかなり深くかかわっていただかなければならなくなるのは間違いありません。
その中で、私が正直言いまして疑問に思っているのは、事前に申し上げたいんですが、私、海上保安庁には大変お世話になっていまして、尖閣諸島を見に行くときも見せていただきましたし、国土交通省にも何度も海上保安庁の中を見せていただいて、危機管理の体制についても見せていただいているので、そこに立派な方がいることはよくよく承知しています。海上保安庁のそういう存在意味については大きく評価をしつつ、私が感じているのは、危機管理をやる役所として果たして国土交通省の中に存在する意味があるんだろうか。
国土交通省というのは大変巨大な陳情官庁でして、私がいつ行ってもお客さんがいっぱいいて、それでいろいろな陳情をされるわけですね。これはこれで役割は大事。ただ、その中のワンフロアだけ海上保安庁があって、そこだけがっちりセキュリティーが固まっていて、安全保障のフロアということになっていて、雰囲気がそのフロアだけ一変しておるわけですね。これは一つ象徴的にあらわれています。
もう一つ申し上げると、個人攻撃をするわけでは決してないのでこれは御容赦いただきたいんですが、海上保安庁の石川長官、今御答弁いただいて、立派な方ですが、過去のキャリアを見ると、海上保安庁の長官になられる前は海保の業務にかかわったことは一回もないですよね。鉄道行政には長くかかわっていらして、そこでは立派な業績を残した方だというのも承知をしています。鉄道もある種危機管理の役割を一部担うということを理解しつつも、やはり、海の安全を主体的に担う役所の方は、もう少し、そういう現場を幾つか踏んでこられて知見を若いときにしっかりと踏まれる方、これを入れるべきではないかと私は思っています。
大臣、先ほどもう長々と御答弁いただいたので簡潔で結構ですが、国土交通大臣をやっていらっしゃる中で、そういう矛盾をお感じになることはないかどうか。そして、今私がるる申し上げたようなことについて、実は、附帯決議の中に組織のあり方を考えましょうと書いたんですが、そういうことについてどういうふうにお感じになるか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○冬柴国務大臣
確かに、隔絶されたといいますか、画一的な仕事もあります。しかし、そのやっている仕事は内閣やあるいは他の部局とも十分に連携しなければならない部分がありまして、私は、今の石川長官がその責めを十分に果たしていらっしゃる、あらゆる会合等でその責めを十分果たしていらっしゃる、私との連携あるいは末端の指揮についても十分に、そのような、今御指摘のような経歴をたどっていられることは事実でございますけれども、内閣の中に置かれた会合にも出席をし、ただ、そのように組織された最高指揮官というような形だけではなしに、他の部局との密接的な打ち合わせも十分にあるわけでございまして、その責めを十分に果たせる立派な長官だと思っております。
○細野委員
大臣、強調しておきたいのは、個人攻撃をしているわけではありませんから、組織のあり方として国土交通省の中である必然性はそろそろなくなっているのではないですかということを申し上げたので、大臣としての今の御答弁はそれが限界なんだと思いますが、問題意識として、民主党の中で強くそういう議論が出たということはぜひ御認識をいただきたいというふうに思います。
最後、海上保安庁長官にもう一つだけ。せっかく海洋構築物の法律を出していますので、その解釈について海保としてはどういうふうに取り組むか。
試掘をする場合にやぐらを組みます。その半径五百メートルに安全水域を設けて、そこに入ってはいけませんよと規制ができるのがこの法律の意義ですね。この法律がない段階では、やぐらを組んでいたら、そこに直接的な妨害がなされたときに初めて法違反を問える、排除できるということだと思うんですが、これができることによって、半径五百メートル、予防的に、海保として、入ってくるものについて、この法律違反を問うて排除できるというふうに私は考えますが、そういう理解でよろしいでしょうか。これを確認させてください。
○石川政府参考人
この法律、安全水域法が成立、施行された後に、今お話しのように、国土交通大臣の許可を得ない船舶が海洋構築物等に設定された安全水域に侵入しようとする場合、この場合には、海上保安庁としては、一般論でありますけれども、当該船舶に対しまして、まず、安全水域に入域しないように警告をします。さらに、これに従わない場合には、海洋構築物等の安全確保等の観点から、状況に応じて進路規制をするということになろうかと考えております。
仮に、これらの事前の措置にもかかわらず船舶が安全水域に侵入するような事態が発生する場合には、この船を停船させた上で立入検査などを実施して、安全水域法違反の観点から所要の捜査を行うということになろうかと考えております。
ただ、これは相手が軍艦または公船の場合には適用はございません。
○細野委員
今長官が御答弁されたとおり、これは大体公船が考え得ますから、その限界があることは、これはもう国連海洋法の限界ということで理解をしています。ただ、これは公船かどうかという峻別も含めて、いろいろなケースがあり得るわけですから、とにかく万全を期していただきたい。
もう一つ、私の個人的な意見として申し上げると、この問題はむしろ、東シナ海での開発を前提とすると、武力を招くというよりは、五百メートルという安全水域を設けることによりまして武力衝突を事前に回避する、さまざまな衝突を事前に回避する、そういう安全策としても私は機能し得ると思うんですね。その面も含めて、海保の体制は大変だと思います。東シナ海の方なんというのは、それこそ手薄なところですから大変だと思いますが、せっかくこういう法律をつくるわけですから、万全を期していただきたい、このことを強調しておきたいと思います。
この二法が通るわけですが、実は、国連の海洋法をめぐって、また、海洋のさまざまな政策をめぐってはまだまだ積み残された課題がたくさんあると私は思っていまして、まず初めに挙げなければならないのは、国連海洋法条約という条約が、一九九六年に批准、もうそれこそ施行されているにもかかわらず、その国内法制化というのは大変ずっとおくれてきている。この問題はこれから残された課題だというふうに思っています。
その問題を解決する意味で、一つどうしてもクリアしなければならない、しっかりと踏まえていかなければならないのが、日中の東シナ海の開発における口上書の存在というものですね。つまり、中国側が日本側で科学的調査をする場合には通告をしなさいよということについて書かれた文書が日中間に交わされておりまして、これは二〇〇一年に交わされておるんですが、国連海洋法とこの口上書、これをどう法律的に考えていくのかという問題をクリアしない限り、現実的には、この一番大事な部分についての国連海洋法条約の国内法化というのは進みません。
きょう、外務副大臣、専門家の岩屋副大臣に来ていただいていますから、何度もこのやりとりもさせていただいていますけれども、口上書の法的位置づけ、これはちょっと余り今まで明確に聞いたことがなかったものですから、これはどういう文書なのか、どういう拘束力を持つのか、これに違反した場合には日本はではどこまでアクションをすることができるのか、その辺も含めてどういう文書なのか、外務省としての御見解を伺いたいと思います。
○岩屋副大臣
この問題は、細野先生とも超党派の議連で長いこと一緒に勉強させていただいてまいりました。特に民主党の案について、いつも細野先生が中心的な役割を果たしておられることにまず敬意を表したいと思います。
そこで、お尋ねの口上書についてでございますけれども、先生御承知のとおり、まず、国連海洋法条約におきましては、第二百四十六条の二で、沿岸国の同意を得て実施するということが言われております。それから、二百四十八条には、調査の事項について十分な説明を提供しなければならないということが書かれていて、さらに、二百四十六条の三においては、通常の状況においては同意を与えるものとする、こういうふうに規定をされているわけでございます。
問題は、日中間につきましては、端的に申し上げると、境界が画定していないという状況の中にあって、やはり暫定的に、問題が生じることを避けるために枠組みをつくることが必要だということで、先生がおっしゃった、お互いに口上書を交換して一定の約束事をしている、こういうことになっているわけでございます。
この口上書はどういうものかということでございますが、これは当事国に新たな権利義務を設定する国際約束には当たらないわけでございますけれども、ただ、日中間で口上書を交わしたことによりまして、この枠組みが成立した後は、事前の同意を得ない海洋調査は、なくなったとは言いませんが、減少してきている。つまり、一定の成果、効果を上げてきているということでございます。
我が方としては、引き続き中国側に対して枠組みの遵守をしっかりと求めていきたい、こう思っているところです。
○細野委員
このやりとりはこの間もしましたが、先ほど引用された国連海洋法条約の二百四十八条の規定とこの口上書の間にはいろいろな差があります。最も大きな差は、調べる側は事前に通告をしなければならない。国連海洋法条約は六カ月前にやりなさいよと書いてあるわけですね。しかし、この口上書には二カ月前というふうに書いてあって、調べやすくなっているわけです。日本側は、ほとんど海洋調査は中国側していませんから、手続はしませんが、中国側が日本側を調べやすい口上書になっているんですね。
もう一つは、国連海洋法条約には、沿岸国が希望する場合には、これは怪しいと思ったケースということですが、そこに対して、乗船を希望する、日本人を乗せろということを言うことができるという規定があるんですが、口上書にこれはありません。これは、明らかに調べやすく、国連海洋法に比較をするとハードルを下げている口上書になるんですが、これは外務省として、この違いについてどういうふうに解釈をされていて、問題意識を持っていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
○岩屋副大臣 確かに、先生おっしゃるように、国連海洋法条約上は、通報は六カ月前に行わなければならないというふうになっているわけでございますが、とはいえ、必ずしもその六カ月でなければならないかということではなくて、こういう海洋法上の規定は、沿岸国同士が同意をすることができれば、つまり、異なる通報時期で差し支えないというふうにお互いが判断をすることができれば、国連海洋法条約上で定められている六カ月とは違う通報時期を設定してもこれは差し支えないものというふうに解釈をしているところでございます。そこで、二カ月程度のことでお互いにいいだろうという合意、同意をしている、こういうことでございます。
それから、後段の、先生がおっしゃった海洋法条約の規定では、沿岸国が計画に参加し、または代表を派遣することができる程度というそのことを先生はおっしゃったんだと思いますが、つまり、こっちが向こうの計画を十分に知らされておって、こっちがその計画の中に参加をして状況を見ることができるかどうかということでございますが、これも、口上書には書いておりませんが、排除されているものではないというふうに私どもは考えているところでございます。
したがって、中国がこの枠組みに基づいて行う海洋の科学調査に我が方が参加をする、あるいは代表の派遣を求めることができる可能性は排除されていないというふうに考えております。
○細野委員
今の話は初めて聞きましたが、大変興味深いんですが、ならば、ある程度それを求めたらどうですか、共同開発を言うならば。これだけ科学的調査を中国側が盛んにしているわけですから、共同開発を視野に入れているのであれば、では、国連海洋法条約に基づいて科学的調査にちゃんと日本の専門家を同乗させろと言えばいいじゃないですか。やれるけれどもやってこなかったわけですよね。
今の御答弁、非常に関心があるんですが、副大臣として、そういう問題について、共同開発を視野に入れるのであれば、中国側の調査に日本側を同乗させろとこの条約に基づいておっしゃったらどうですか。いかがですか。
○岩屋副大臣
先ほど日中間の協議についても御報告がございました。これはこれからも続いていくことでございまして、日中外相会談でもきっと取り上げられることになると思いますし、その延長線上にはやがて首脳会談ということもあるのでありましょう。もう少しこの日中間の協議が中身が詰まってくる、あるいは一定の合意ができる、共同開発に向けてお互い前向きなスタンスをとることができる、こういうことになってきた場合には先生がおっしゃるようなことも可能性としては排除されていないということを申し上げているわけでございます。
○細野委員
わかりました。やがて検討されるという御答弁をいただいたというふうに理解をしたいと思います。まあいいです、ここですぐに答弁いただける問題ではないと思いますから。ただ、重要な御答弁をいただいたので、それを踏まえて、日本としての行動が選択肢としてはあり得るということだと思います。
海上保安庁に確認をしたいんですが、この日中口上書に違反をしていわゆる科学的調査をした場合、また科学的調査を超えて資源探査をした場合は、この口上書を根拠に取り締まれるんですか。もしくは、これでできないんだとすれば、国連海洋法条約に書いてある条文をもとに、違法な科学的調査、違法な資源探査については、これは海上保安庁としてしっかり本当に取り締まれるんですか。もしくは、国内法がないからだめなんですか。そこをお答えいただきたいと思います。
○石川政府参考人
事前の許可あるいはそういうものがなくて我が国のEEZ内で海洋調査をするという場合に対しましては、私どもはそれに対して警告を発しまして、速やかに退去するように指導しております。あわせて、外交ルートを通じて抗議をしております。(岩屋副大臣「ちょっと訂正があるんです」と呼ぶ)
○塩谷委員長
岩屋外務副大臣。
○岩屋副大臣
申しわけありません。先ほどの答弁の中で共同開発という言葉を私申し上げましたが、日中で交わしている口上書はあくまでも科学的調査ということに関して行われていることでございますので、ちょっと言葉が適切ではなかったので、そこは訂正をさせていただきたいと思います。
○細野委員
共同開発ではなくて調査を共同でやるという意味ですね。はい、理解しました。
長官、私の質問がわかってはぐらかされているんだと思うんですが、外交的に抗議できるのは、口上書ですから当たり前なんです。そうじゃなくて、そういう違法なものに対して、国連海洋法上違法なものに対して口上書を根拠に、国内法はないけれども国連海洋法を根拠に海上保安庁として取り締まれるんですか、それを、例えば私船で来た場合、公船以外で来た場合には排除できるんですかということを聞いているんです。
○石川政府参考人
先ほども申し上げましたとおり、警告をし、退去するように求めます。
○細野委員
長官、確認しますが、そうしますと、排除行為はできないということですね。
○石川政府参考人
ケース・バイ・ケースだと思いますけれども、例えば、そういうことによって我が国の方の船舶その他に対して何らかの妨害行為が行われるというふうな場合は、私ども進路規制その他いたしますけれども、それ以外の場合につきましては、今申し上げたとおりでございます。
○細野委員
長官、ぼかさないで答えてください。我が国の船舶に対する妨害ではなくて、違法な科学的調査、海外の船の違法な科学的調査、違法な探査そのものに対して排除ができるんですかということを聞いているんです。
○石川政府参考人
我が国のEEZ内において我が国の許可、同意がなくて外国の海洋調査船が調査をする場合には、私どもは中止の要請をいたしております。
○細野委員
要するにできないんですね。口上書はあるけれども、口上書違反の科学的調査、資源探査がやられても、海上保安庁としては抗議を外務省を通じてするだけで、取り締まれないんです。国連海洋法条約には確かに、科学的調査は通告があればやってもいいですよ、ただ、通告がないのは違法な調査、資源探査は違法な探査ということになっていますが、我が国の船舶に対して直接妨害がなければ海上保安庁として取り締まれないんです。ここにはまだ法の空白があるんですよ。
私ども、その法律を出して一回取り下げますが、まだ別にこれであきらめたわけではありませんし、必要性については全く、むしろ後退をしていないと思っています。国連海洋法にはその趣旨が書かれていますが、具体的な取り締まりができるような書き方になっていません。このことをしっかり踏まえて政府として対応していくという御答弁をいただきたいんですが、これはだれに答弁いただくかはちょっと難しいんですが、せっかく国土交通大臣いらしていますし、さっき意欲も燃やされましたので、今の法律の空白について十分しっかりと踏まえて、政府として国内法の整備についても、国会でもやりたいと思いますが、積極的に取り組むという姿勢をぜひここで示していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○冬柴国務大臣
国家として極度に政治的な判断を必要とする問題でありまして、新たな立法措置につきましては、我が国の国益、国連海洋法条約の趣旨などを十分に考慮して、その適否を慎重に検討すべきであるというふうに思います。この民主党から提出されている排他的経済水域権利行使法案、その趣旨はよくわかりますけれども、そういうものについて、これがどういう影響を与えるか、これは国家的な見地からいろいろな配慮が必要だと思いますから、慎重に配慮をしながら検討しなければならない問題であるというふうに思います。
○細野委員
大臣、別に私、とんがった主張をしているつもりはないんですね。国連海洋法条約という国際的な枠組みがあります。それは我が国も批准をしていますし、多くの海洋国が批准をしている条約でもあります。その条約に基づいてきちっと規制ができるような国内法を、場合によってはそのままでもいいと思うんですよ、国連海洋法を国内法にする、それだけでも取り締まれますからね。そういう作業をそろそろすべきじゃないですかということについて私は御所見を伺っているんです。
これはせっかく来られているので外務副大臣にもお伺いしますが、外交上もこれは大変重要な問題だと思うんです。しかも条約ですから、それの国内法化については外務省も責任ありますね。今の海上保安庁長官の答弁を聞いて、そういう違法な調査を取り締まれない我が国の法の空白を御認識いただければ、当然外務省としてのアクションを起こすべき時期に来ていると思うんですが、いかがでしょうか。
○岩屋副大臣
これについては、もう今冬柴大臣からお答えいただいたとおりだと思います。問題意識は共有できるものもたくさんございますが、しかし、やはり総合的な見地から、国家として、政府として慎重に判断をする必要があるというふうに思っておりますので、先生の御指摘を踏まえて、今後検討させていただきたいと思います。
○細野委員
わかりました。今後の課題ということで、私どもとしても取り組んでいきたいというふうに思っています。
残りがあと五分になったので、ちょっとどうしても聞きたかった質問が一つ、時間が十分ないんですが、先日、外務委員会でも質問した領海の問題についても、実は課題を残していると思っていまして、そのことについて若干確認の答弁をお伺いしたいと思います。
日本の場合、領海法という法律があって、それも基本的には国連海洋法に基づいて、それまで三海里であったのが十二海里になって、そして、それを国内法に規定して領海法になっているんですね。この領海法の十二海里の例外というのがありまして、我が国の場合は、当分の間、宗谷海峡、津軽海峡、そしてあと三つ海峡があるんですが、この五つの海峡については、十二海里を設定せずに三海里にとどめるという規定があります。
これはちょっと外務省に確認をしたいんですが、言うならば、権益が及ぶ領海という、我が国の極めて領土に近い、権限が及ぶところを三海里に制限しているんですが、国内のそれぞれの島の間の領海において十二海里を三海里にとどめている国というのは、私の調べた限り、日本以外にないんですが、これはほかの国でやっている国があるんでしょうか。これは政府参考人の方で結構ですので、御答弁いただきたいと思います。
○小松政府参考人
海洋法条約に定めております領海の幅と日本の領海法に定めております領海の幅についてでございますが、国連海洋法条約第三条でございますが、「いずれの国も、この条約の定めるところにより決定される基線から測定して十二海里を超えない範囲でその領海の幅を定める権利を有する。」ということでございまして、十二海里を定めなければならないということではございません。
今の御質問につきましては、外国との間の海峡の水域につきまして十二海里以下としている国は幾つかあるというふうに承知しておりますが、今御質問にございましたように、国内の島と島の間というものについては、私どもの今承知している限りでは、承知してございません。
○細野委員
これは委員の皆さんにもぜひ御認識いただきたいんですが、領海は十二海里設定できるんですね。にもかかわらず、我が国だけ、北海道と本州の間、九州と種子島の間、幾つかのところで三海里に制限をしています。そこを十二海里に設定した上で、通過通航制度というのをしっかり利用すれば、その間を自由に通っていいですよという規定ができるにもかかわらず、十二海里を三海里ということで制限をしているんですね。
外務省にもう一つ御答弁をいただきたいんですが、では、ここの、今三海里に制限をしている五海峡、国際海峡として通航が激しいのでしようがないんですという御答弁を盛んにされるんですが、そこはどれぐらい通航していて、国際海峡としてどれぐらい蓋然性が高いのかということについて、外務省としてしっかり把握されていますでしょうか。
○小松政府参考人
突然の御質問でございますので、どのぐらいの交通量があるかということにつきましては、ただいま手元に資料がございません。
○細野委員
言っているはずですよ。外務省としてはよくわかりませんということで事前にお答えもいただいています。
要するに、国際海峡というふうにして、ある種、理由が極めて不明確なんですが、国際海峡ということで間をあけているわけですね。
もう時間もなくなってきたのであれですが、外務省としてぜひ御検討いただきたいのは、十二海里をきちっと設定した上で、その間を通過通航制度という制度に基づいてある程度の通航を許可するやり方と、これは各国がやっているやり方です、我が国が三海里に制限をして、自由に通航していいですよと、その間を排他的経済水域としてあけている、そこはほとんど何もケアできませんが、その制度の違いを政府としてきちっと研究して、どちらが国益により近いのかということについて議論をしていただきたいと思います。
私がこの問題を盛んに強調するのは、我が国の周辺海峡というのは大きく変化をしていて、かつては、それはアメリカに守ってもらうためにという議論があり得たのかもしれないけれども、今は潜水艦関係といったら相当我が国の周辺にも来ているんですね。その状況において、領海を設定せずにどこでも回れるようにしているというのは、これは明らかに国益に反していると私は思っています。
時間もなくなりましたので、そのことを詳しくここで申し述べる時間はありませんが、私どもに残された課題としては、この領海の三海里と十二海里の問題、さらにもう一つは、領海内におけるさまざまな準軍事的な行為、例えば、武装工作員を搬出するであるとか、さらには機雷を敷設するであるとか、そういうことは、我が国の周辺環境を考えればこれから考えられます。これも、実は領海内でやられた場合に法の空白がありまして、マイナー自衛権の問題ですが、いわゆる武力攻撃事態に発展をしない限り、それについても何も海上保安庁はできないはずです。
そういう問題を含めて、海洋の問題についてはまだまだ法の空白もありますし、やらなければなりませんので、そのあたりについては民主党はしっかりこれから取り組んでいきたいということを最後に強調して、若干長くなってしまいましたが、私の質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
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