5月11日

経済産業委員会  

○細野委員
 笹木委員に引き続いて、EPA、FTAの問題について質問させていただきたいと思います。
 まず、これは麻生大臣にお伺いをしたいんですが、世界じゅうでFTAの締結交渉が進んでいて、去年の半ばの時期で世界じゅうのFTAの数というのがもう百五十近くになっている。資料によりますと、アメリカが結んでいるFTAの数が十二、EUは二十四、中国は数は四と少ないんですが、ASEANを含みますから、相手としては範囲が相当拡大をしています。特に最近は、この間も日本もASEANとのめどをつけたということでありますが、ASEANとかオーストラリアなんかがかなりもてておりまして、世界じゅうでFTA、EPAは拡大をして、半ば、どこをどこでとるかという競争になっているような、そんな状況なわけですよね。
 まず大臣にお伺いをしたいのは、そういう数が急増をしているこの状況と、どの国が魅力的かということ、魅力的であると思われる国に対してはかなり競争に近い状況になっているということ、この状況について大臣はどのように評価をされているか、お伺いしたいと思います。

○麻生国務大臣
 まず最初に数字の方から、今細野先生が言われました部分でいきますと、今年に入りまして三月までのところで、今言われた百五十から、昨年の数字だと思います、この三月で百八十三までふえております。
 それまでふえておりますので、私どもとしてはどう考えるかということですけれども、これは、もともとWTOが余りスムーズになかなか進まぬというところもあって、各国で個別にいろいろやられ始めたという背景はあろうと存じます。しかし、WTOというものを補完する意味でFTA、EPAというのは非常に大事なものだと思っておりますので、そういう意味では日本にとって有益であることはもう間違いありません。少なくとも、この国は資源より通商で成り立っておる国ですから、そういう意味では積極的に推進をしていくべきだと思っております。
 したがいまして、今言われましたように、どの国というのは、日本の持っていないものを持っている国が我々にとっていいということで、基本的に資源もしくは買ってもらえるマーケットの双方、売ってくれるところと買ってくれるところと両方というところが一番大きなことになろうと思いますので、日本の得意とする分野を買ってくれるところ、すなわち、うちは大量末端消費財ではなくてむしろ生産財、資本財というものを主につくって輸出してきている国でもありますので、そういったことの評価の高い国というのを我々としてはむしろFTA、EPAの対象国としていきたいと考えております。

○細野委員
 私も、日本の国益を考えれば、積極的にやはりFTAは進めていくべきという立場ではあるんですね。それ自体の考え方については私も大臣と立場は変わらないんですが、一つちょっとそろそろ考えなきゃならないと思うのは、果たしてこのFTA、EPAというものがWTOという世界の枠組みと整合的なのか。今、補完的と大臣は答弁をされましたが、本当に補完的かというところは少しそろそろ判断をしていった方がいいんだろうと思うんですね。
 例えば、最近であれば、アメリカと韓国がFTAの交渉で妥結をした。韓国も経済規模としては非常に大きなものがありますから、世界のメジャーどころ同士がもうFTAをやり出したわけですよね。最近は、オーストラリアと中国なんかもやるのではないかと言われていて、そういう貿易相手としては非常に規模の大きいFTAが出てきている。
 従来はWTOの補完的な手段としてのFTAというのがあったんだけれども、今やFTAはそれを場合によっては脅かすような状況になっていて、WTOの補完的というよりは、むしろ関係が変わってきているのではないか。どういう表現をすればいいか、ちょっと私も適切な言葉は見つかりませんが、そういう認識を私は持っています。
 大臣、その辺についてのお考えはいかがでしょうか。

○麻生国務大臣
 これは先生、国数のところからいきますと、やはりアフリカなんというところに五十三カ国あると思いますが、こういったような国のことを考えてFTAということになりますと、途端に何となくみんな資源がある一部の国だけということになって、ほかの国々、いわゆる発展途上国もしくは最貧国、いろいろな表現がありますけれども、アフリカの場合は、五十三カ国ありますが、エジプト、南アフリカ、モロッコ、ナイジェリアぐらいで全GDPの大体九割ぐらい、四カ国で九割ぐらい押さえていると思いますね。そういたしますと、残りの四十九カ国ぐらいで残りの一〇%、そういった国とFTAとかいうものをやろうなんというのは余り出てこない。そうすると、その国はさらにぐあいの悪いことになろうと思いますので、やはり基本的にWTOみたいな形で、ある程度の大枠はきちんとしていくというのは忘れちゃならぬ大事なところなんだと思います。だから、その中で双方の利益の合うところが出てくる。そこがきちんと組み合っていくというところが大事なところなんだと私は思います。
 ただ、今言われましたように、例えば日本とアメリカのEPAとかFTAということになりますと、それだけで、世界の百九十二カ国で二国だけで四〇%ぐらいということになったら、ほかの国にとりましては、ちょっと待てという可能性が、いろいろ言われる確率は極めて高いということも頭に入れておかないかぬかなと思いますが、同時に、どこかでそれをやられた場合、こっちもやらないとこっちだけ不利益をこうむるということになりますので、そこのところの判断はなかなか難しいところだと存じます。
    〔やまぎわ委員長代理退席、委員長着席〕

○細野委員
 日米の話は最後に聞こうかと思っていたんですが、大臣が今御答弁をされましたので。
 確かに、日米のFTAというのは最近かなり財界であるとか諮問会議なんかからも出てきていまして、話題になり出しているんですが、これは一つの大きな判断が求められるんだろうというふうに思うんですね、先ほどちょっと微妙だという話をされましたが。ただ、その一方で、例えば韓国とアメリカの交渉なんかは、実は一年たたずに一気に交渉を進めたわけですよ。そうなると、例えばアメリカと中国のFTAなんかも、全然ないだろうという想定をしていると実は間違う可能性もある。それぐらい世界は大きく動き出しているわけですよね。
 そういうことも含めて、さっきちょっと言及はいただきましたが、かなり財界からは日米FTAについて要望が出ておりますが、WTOとの整合性も含めて、今の時点で大臣はどのようにお考えになっているか、もう少し整理をして御答弁いただけますでしょうか。

○麻生国務大臣
 一昨日の経済財政諮問会議でも同様なお話というものが出ましたけれども、私どもとしては、成長のための日米経済パートナーシップ等々、今、日米の間にいろいろな枠組みというのは物すごく数がありますので、そういった中で日米経済というのを考えていった場合に、さらに規模が大きくなるとか、進化していくとかいろいろなことを考えながらも、やはりこれは将来の課題として検討していくべきではないかということに関して、今回外務省は、他省庁、他省庁というのは農林省とか経産省とかいうのを含めたところと調整の上で将来課題として検討すべきものであるといって、アメリカとEUの名前を挙げて、一昨日の答申という形で出させていただいております。
 これは、今、細野先生も御懸念のとおりのところを幾つか勘案しませんと、おまえら二人だけでいいことをしようとしているのということになりますと、話が非常に込み入ったことになりますので、十分に注意をしてやっていかないかぬところだとは思いますけれども、日米関係は、これはほかの国に比べてまだ関税が下がっておりますからね。だから、それはまだいいと思いますけれども、日本とEUとの関係といいますと、関税障壁がまだEUの方が高いところがありますので、そこらのところがどんと安くなると、日本にとりましてすぐ見えるメリットがそこにあるということになろうと思いますが、こちらもEUの経済力というのはかなりの大きなものになりますので、そういったところも考えて、財界として即という話になってくるところだとは思いますけれども、私どもとしては、将来の課題としてこれは検討してしかるべき問題だと考えております。

○細野委員
 実は私は、従来はどちらかというとWTO派だったんですね。シンクタンクに勤めていたときにWTOの研究をやっておりまして、当時は日本は、特に外務省はFTA、EPAみたいなものはWTOの枠組みを乱すものだということで、むしろ積極的に評価をしていなかった。消極的だった。ただ、この数年で考え方を大きく変えて、日本も交渉中のものも含めると、もうかなり数がふえてきているので、考え方を徐々に変えつつあるんです。
 先ほどちょっと両方のバランスをとった質問をしましたが、今の時点の私の判断でいうと、私は、日米に関しても、ここはもうはっきりかじを切るべきだと思います。それぐらい世界は先を行っていますし、日本の国益を考えたときに、今大臣はアメリカとの関税の話をされましたが、もう関税の話というのは先進国間においてはテーマとしてはかなり小さいものになっていて、むしろ投資とか制度の均一化、これをとった方が勝つわけですね。デファクトをとった方が勝つ時代に入っていますから。そういう中で、やはり本当に日本が、日本の国益に基づいて産業の競争力であるとかさまざまな意味でのメリットを受けていく意味では、きっちり日米についてもかじを切っていくべきだろうというふうに思うんですね。
 ですので、日米首脳会談をやったときも、一応情報交換をということであったけれども、煮詰まらない状況の中で交渉は終わってしまっていますが、そこはもうそろそろ、かつて私がWTOと言っていた時代からはもう全然時代は変わっていますから、そういう認識を持って、FTAについてはかじを切っていただいた方がいいだろうというふうに私は思っています。
 その中で、まず一つだけFTAについて気になることがあるので、これは政府委員の方に御答弁をいただきたいんですが、いわゆるWTOのガットの二十四条に書いてある実質上すべての貿易という、これを一つのFTAの枠として、国際的な枠組みとしてここで縛っているわけですね。これはよく貿易量の九〇%とか、余り水準の低いものができるとWTOと整合性がないということで、こういうルールで縛っているんですが、日本としては、これについてはどういうスタンスで今いるのか、これは政府委員に御答弁いただきたいと思います。

○小田部政府参考人
 先生から今御質問をいただきましたガット二十四条8、実質上すべての貿易についてでございますけれども、先生御案内のとおり、ここの実質上のすべての貿易、具体的にどういう意味かという具体的基準はまだ確立されていないところでございます。他方、現在行われておりますWTOドーハ交渉のルール交渉において、引き続きこれは議論が行われております。
 その上で申し上げれば、多くの国々が、少なくとも貿易の九割以上が必要と考えているのは事実であり、我が国も貿易額の九〇%の関税撤廃というのを一つの目安としております。同時にまた、そのような量的基準に加えまして、二国間のEPAあるいはFTAにおきましては、主要分野がすっぽりと自由化対象から外れてはならないという質的基準もあるというふうに考えておるところでございます。

○細野委員
 九〇%を一つの基準と考えているということでございましたね。やはりそこは、私はラインとして設けておくべきだろうというふうに思っています。
 大臣、通告していないんですが、御所見を伺いたいんですが、私、ここは守るべきだと思うんですよ。というのは、WTOの枠組みから離れたところでもFTAは増殖しているんですが、一方で、余り低い基準のものがどんどん出てきてしまうと、これはFTAを結ぶ可能性のない国、アフリカの小国なんかはFTAを結んでくれるパートナーは実質的にいないですから、そういう国々にとっては、どんどん低いレベルのFTAが結ばれていくと、彼らはもう完全に蚊帳の外に置かれるわけですね。そうではなくて、ある程度高い基準のFTAを日本なんかで結ぶと、それによって他国が、違う二国間もしくは地域でレベルが低いものが結ばれることも防ぐ、そういう効果もありますので、ここは私はある程度きっちり日本としては守っていった方がいいだろうというふうに思っているんですね。
 私が念頭にあるのは日豪なんですが、農業もあるので非常に難しいんですが、やはりある程度、そういう意味で世界の中で理解がされるようなFTAを結ぶべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。

○麻生国務大臣
 最初に言われましたように、外務省はもう全く、細野先生のおかげとは言いませんけれども、WTO派。FTA、EPA派なんかはゼロです。正確にはゼロでした。
 これは河野外務大臣のときに初めて、通産はFTA派だったと記憶しますが、通産のある者が一生懸命言い始めたのが始まり。当時は、もう断固WTOと非常にはっきりしておったんだと思います。三和総研、外務省の連合か知りませんけれども、あのころはとにかくはっきりしておりました。もうおっしゃるとおり。
 それが変わってきましたのは、その河野外務大臣のときにシンガポールと初めてやったのは、農業がないからシンガポールでいいじゃないかといって、これは通産が考えた案なんですけれども、それに乗ったのが多分最初です。それから今日まで幾つか、チリだ何だ幾つか始まったんだと思います。
 いずれにしても、今言われたところ、小田部の方から九〇という数字を挙げましたけれども、ある程度のものをきちんとしておくというのは、最初に申し上げましたように、最貧国等々が壊滅的なことになりかねぬという気がしますものですから、私もそういった意味では、WTOという大枠の中で、FTAを補完的と申し上げましたが、そこが、今言われたように、数字的には九〇がいいのか九五がいいのかいろいろな表現はありますけれども、きちんとしたもので押さえておかないと、これは思わぬところに当初予想していなかった弊害というのが出てくるという可能性は頭に入れて対応すべきものだ、私もそう思います。

○細野委員
 外務省はWTO派だという話を大臣から聞けるとは思いませんでしたけれども。実際、かつてはそうでしたね。やはり随分変わってきたとは思います。その中で、今大臣がおっしゃったような、世界にきちっと誇れるようなFTA、EPAを結ぶということについては、ぜひ御努力をいただきたいと思います。
 具体的な話に少し入っていきたいんですが、大臣にお伺いをしたいのが、これは私はもともと大変関心があったんですが、相互承認の問題。それぞれの国によって工業製品なんかの基準が違いますね。そういうものが入ってくるときに、例えばタイから入ってくるものを日本で認証するときに、一々日本でそこで審査をするんじゃなくて、タイの方でやって持ってくるという話ですね。
 これは、制度としては非常に重要だと思っていまして、今回も、このタイのものの中でもこのMRAが入っているわけですが、こういうものに対する日本の基本的なスタンス、まず重要性なり考え方なり、外務省としての基本的な方針をお伺いしたいと思います。

○岩屋副大臣
 これは細野先生おっしゃるとおり、非常に重要な分野であると私ども思っておりまして、特にタイとの相互承認の制度は、主に電気製品の分野を対象にしたものですけれども、これはもう先生がおっしゃったとおりでございまして、これがありませんと、一々翻訳する経費でありますとか、それから審査の旅費等のコストがかかるわけでございまして、相互承認制度があればそれを削減することができる。それから、認証を得るための期間を短縮することができる。よって、電気製品の貿易が一層促進をされる。それから、例えばDVDプレーヤーなんかはしょっちゅうモデルチェンジをするわけですけれども、相手国のマーケットのニーズに応じてタイムリーに新しい製品を投入していくことができる。そういういろいろなメリットがあるわけでございまして、この相互承認制度というものにつきましても、一層促進をしていきたいというふうに思っているところでございます。

○細野委員
 ありがとうございました。
 この相互承認制度なんですが、もう少しお伺いしたいのは、二種類ありまして、一つは相手国の認証機関に任せちゃうという方法と、今回タイでとったように、日本側が注文をつけてやるという方法ですね。シンガポールでは前者をとって、タイでは後者をとったということなんですが、私がちょっと気にしていますのは、この相互承認制度というのは非常に重要だと思うんですが、相手国によって制度が違うわけですね。今度、ASEANとのEPAみたいな話になったときに、ではそれぞれの国と結んだ相互承認制度はどうなるのか、考え方をどう整理するのか。
 例えば、タイとシンガポールも違うやり方をしています。ASEANと結ぶと恐らく出てくるのが、例えばベトナムとかラオスとかカンボジアのように、相互承認はちょっと厳しいんじゃないかという国も、もしかしたらあるかもしれないですね。
 そういう枠組みの中で、そういうそれぞれのレベルの違う国とのさまざまな貿易について、この相互承認制度はどういうふうになるんでしょうか。今の時点で外務省として持っていらっしゃる方針をお伺いしたいと思います。

○小田部政府参考人
 先生御指摘のように、日本は今まで幾つかの相互承認を結んでいるところでございます。EUがございます。シンガポールがございます。最近はアメリカがございまして、今度はタイでございます。
 この相互承認を結ぶ基本的考え方は、まず我が方、民間業界がどういう御意向を持っておられるかということを優先させて考えているところでございます。その上で、相手国の制度がどういうふうな制度になっているかということで、その上で具体的な対応を決めているところでございます。
 今御質問のありましたASEAN全体との包括的経済連携でございますけれども、まだ交渉中でございますので、本件について煮詰まっている段階には至っておりませんけれども、いずれにいたしましても、今回、日・タイEPAにおいて取り交わしました相互承認の規定については、日・ASEAN全体がどうなろうとも損なわないような仕組みにしたいというふうに思っているところでございます。

○細野委員
 ちょっと確認ですが、既に結んでいる相互承認のこの制度自体は、ASEANという大きな枠組みになっても基本的にはきちっと守られる、そういう理解でよろしいんでしょうか。

○小田部政府参考人
 そのとおりでございます。

○細野委員
 このMRAに限らないんですが、これからいろいろなASEANとの交渉をする中で、それぞれの個別の条項をどうするのかは相当問題になると思うんですね。外務省の方に交渉としてお願いをしておきたいのは、その中で、既に日本がきちっと書き込んだものについて落ちることがないように、それをできるだけ多くの国に反映できるように御努力をいただきたいと思います。これは私からの要望です。
 もう一点、チリとの協定の方で、これは大臣にお伺いをしたいんですが、先ほども笹木委員とのやりとりの中で、銅が非常に大事なんだというお話がございましたね。今後ろから耳打ちされていますが、大丈夫ですか。
 ちょっとお伺いをしたいのは、私、チリとの間には資源条項が入るかなと思っていたんですよ、資源の安定供給に関して。ところが、今回、入りませんでした。インドネシアとの協定には資源条項がもう入る予定になっているので、そちらは見ているんですが、チリとの間で私はいいきっかけになるかなと思っていたので、ちょっとそこは意外だったんですが、なぜ入らなかったのか、これは副大臣ですか、お答えをいただければと思います。

○岩屋副大臣
 事実関係だけ私の方から。
 先生おっしゃるとおり、チリは、銅とかモリブデンとかリチウム等の鉱物資源の我が国の最大供給国でございます。我が国企業が投資を現地に行っておりまして、その鉱山で生産されたものが我が国に輸入をされているということでございます。
 今回、日本・チリEPAを締結するに当たりまして、チリは、同協定の投資に関する条項に基づいて、このような我が国の企業及び我が国の企業による投資の保護を二国間の義務として約束をするということになります。
 また、日本・チリのEPAにおきましては、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化に関する規定や、ビジネス環境の整備に関する規定が置かれておりますので、先生がおっしゃる資源に関する独立の条項を設けなくても、協定全体で、チリから我が国への資源の安定供給が図られるというふうに判断をしたところでございます。

○細野委員
 要するに、投資をもう日本がしていて、資本でもうきちっと抱え込んでいるから、入れなくても安定的に入ってくる、そういう話ですね。それは理解しました。
 恐らくチリはそれでよかったんだろうと思うんですが、今度、インドネシア、ブルネイで資源条項が入るんですね。恐らく最大の山になるのがオーストラリア、どういう資源条項を入れられるか、これはかなり山になると思います。
 そこで、大臣、これは私の個人的な見解なので、ちょっとどこかで覚えておいていただければと思うんですが、ここでかなりきちっとした資源条項を入れるべきだと思うんですね。特にオーストラリアにおいては、やはりウランですよね、最大のウラン供出国ですから。このウランは、正直言うと、今、水面下で中国とかなりとり合いになっています。インドも参入をしてきます。そういう状況の中で、どういう資源条項を入れられるかということをかなりきちっと交渉していただきたいと思っているんですね。
 ちなみに、一つ参考事例として申し上げると、NAFTAの中にある、メキシコとアメリカの資源に関する条項というのは非常にはっきりしていまして、どういう条項になっているかというと、仮に資源が枯渇をして、輸出が難しく、減らすとか制限をするということになっても、他国の割合と変えてはいけませんよ、国内の供給とも差別化をしてはいけませんよということがNAFTAの中には書いてあるんですね。要するに、結果をちゃんと出しなさいよということが書いてあるわけです。比率を変えちゃいけませんよ、アメリカに対して差別的にすることは許しませんよということがNAFTAの条項の中に書いてある。これはかなり強い条項です。
 それで、インドネシアとの条項を見てみますと、安定供給の強化に貢献をする、緊密な調整を行うと、プロセスについては書いてあるんですが、結果については書いていないわけですよ。これは、実は大きな違いなんです。
 特にウランの安定供給、オーストラリアと日本との関係を考えれば、オーストラリアは日本との貿易関係というのを物すごく大事にしていますし、感謝もしています。日本は約束を守る国だという、これはどこかの国への当てつけも若干入っているんですが、そういうことも言っているということで、これはチャンスなんですよね。
 オーストラリアにおいては、プロセスももちろん書いていただきたいですが、結果についてもきちっと言及をした資源条項をぜひ入れていただきたいというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。

○麻生国務大臣
 NAFTAの例を引かれましたけれども、今の話は、比率という点、計算方式の根底をきちんと枠を決めておるんであって、誠意とかそういう話じゃない、きちんとした計算方式が決まっているのがみそだという御意見なんだろうと。参考にさせていただきます。

○細野委員
 ここは交渉事ですので、今まさにやっているところだと思いますので、ぜひ御努力をいただきたいと思います。
 日豪なんですが、もう話は始まってしまって、そもそも論にまた戻るんですけれども、日豪に関しては、私はスピードだと思っているんですよ。時間をかけていいところもあると思うんですが、日豪はかなりスピードが大事じゃないか。豪中もかなりいいところまでいっていますし、資源と食料という極めて重要性の高い、しかも、もてもてのオーストラリアが相手ということでありますから、期限は設けずにということを外務省はずっとおっしゃっているんですが、大臣、政治的に、もう少し早くするという意思をぜひ示していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○麻生国務大臣
 御存じのように、既に、四月の二十三、四日だったと思いますけれども、第一回の会合を開催して、交渉の手続及び交渉範囲を含むという形で、今、認識を共有したというところがまず最初のところであります。
 御存じのように、これは、先ほど笹木さんの御意見でしたか、いろいろいわゆる農産物、農産品に関するセンシティビティー、これが日本語なのかどうか知りませんけれども、十何回センシティビティーという言葉を使って、最終的にあの話をまとめるのに夜中までかかりましたけれども、あのときの条項というのがありまして、ここのところは農業団体はかなりいわゆるセンシティブになっておるということなんだと思っております。
 したがって、私どもとしては、これは農林省と物すごく詰めに詰めた上でこの話はあそこまでいったんですけれども、いずれにいたしましても、スピードが必要と言われるのは、この種の話は迅速さをもってとうとばないかぬところが多々ありますので、私どもとして常におなかの中に入れておきますけれども、これはちょっと今までのEPAとわけが違って、農産物含めて、工業産物含めて、大きな話であります。
 傍ら、向こう側もこれが決まりますと、今、向こうでつくっております自動車工場というのは、日本から直接輸入した方が安くなるんじゃないかとか、多分、向こうにとりましても、雇用の問題を含めて、これはかなり大きな問題が出てくるというのは、双方抱えております問題がいろいろありますので、私どもとしては、こちら側も向こう側も痛みをある程度伴っても、さらに大きな国益に資するという観点に立ってこれは頑張らねばならぬところだ、私自身はそう思っております。
 いずれにいたしましても、我々が持っています優位なところは、日本は手間暇はかかるけれども、約束ができたら必ずきちんと履行するというのが、日本の持っております、御先祖からいただいてきました大きな力でもありますので、我々としては、その点は大いに今売り込みつつ、焦ることはないけれども、きちんとうちはやったらやってきたろうがということに関しては明らかに向こうも認めておりますし、金を払うというのに、いまだかつて一回たりともおくれたことはありませんし、そういったところは、納期をきちんと守る等々は日本の最も売れるパワーであろうと存じますので、今御指摘のいただきました点、迅速さが大事だという点は、十分におなかにおさめて対応させていただきたいと存じます。

○細野委員
 農業の話がありました。もちろん、難しいのはわかっていますし、向こうも工業製品で弱みがあるというのは、私もオーストラリアの担当者から直接聞いたことがあります。ただ、だから逆に、これは政治的な判断が求められるところだと思うんですね。外務大臣はその窓口になられるわけですので、今前向きにという御答弁もいただきましたけれども、御努力を引き続きいただきたいと思います。
 もう一点、日豪に関して言うと、私がこの関係をこれからもう少し発展、拡大していけるかなと思っていますのは、経済関係だけではなくて安全保障についても今回宣言が出ている。これは非常に私、評価をしています。
 大臣にお伺いをしたいんですが、安全保障に関する日豪のこの宣言を見たんですが、今の時点でそう呼ぶかどうかということも含めて、日米同盟ということをよく言われますが、日豪同盟というふうに大臣はもうお考えになっているのか、将来そうするというふうに政治的な意思を持っていらっしゃるのか、その辺についてのお考えはいかがなんでしょうか。

○麻生国務大臣
 今、安全保障という御指摘がありましたけれども、これまで日本はオーストラリアとの間で、例えばイラクのサマワにおきまして、我々は治安等々の部分、対策は豪州軍に守られながらやってもらったという経緯があります。もう少し正確に申し上げると、別に借りだけではないのであって、我々は、かつて第一次欧州大戦のときに、オーストラリア軍を地中海まで運ぶのは、日本の駆逐艦「伊吹」というのがこれを保護して送ったという、あれの借りは返したという話があるぐらい、それは、かなり向こうも昔の話からさかのぼって話をしてくるというのは御存じかと思いますが、そういった意味で、テロのときとか災害支援とか、豪州といろいろやってきた長い歴史があります。
 確かに、南太平洋に位置し、太平洋の東側にアメリカ西海岸、こっち側に日本、豪州という地理的なもの、いろいろなものがある中で、これは非常に大きなものだと思っておりますし、そういった意味では、今回の安全保障協力に関する日豪共同宣言というものは、この二国間の安全保障協力というものに対して、いろいろ今後のこの地域のことを考えて貢献するように取り組んでいきたいと思っておりますけれども、今のこの段階でこの共同宣言が軍事同盟を意味するものかと言われれば、今の段階でそういうことはありません。
 では、将来はどうかと言われれば、先ほど申し上げましたように、十年先はまだ私、生きていそうなので、十年先は当てにならぬという今の時代ではありますけれども、十年たったら、おまえ、あのとき違ったじゃないかと言われることになりかねませんので、安易なことは申し上げられませんけれども、今の段階でとしか申し上げられませんけれども、今の段階で軍事同盟というものを考えて今回の共同宣言を発したわけではございません。

○細野委員
 安全保障の同盟、軍事同盟と言えるかどうかの判断はまだ留保するということでしたけれども、具体的にはそろそろ日豪は始めてもいいんじゃないかと私は思っているんですね。
 といいますのは、今大臣がおっしゃったように、海外の協力において、もう既に何度かいろいろな経験を共有していますよね。その面での何らかの共同作業をそろそろ日本は始めるべきじゃないかというふうに私は思っています。
 ちょうど岩屋副大臣がいらっしゃるので、三年前、安保委員会の視察で行ったときに、ヨーロッパに行きまして、岩屋副大臣も経験されていると思うんですが、非常に私、鮮明に記憶しておりますのは、例えば北欧の方ではSHIRBRIGといって、要するに海外へ派遣するときに一緒に訓練をしているわけです。その共同訓練があるから、どこへ行っても仲よくやれますよと。ドイツもPKOの訓練センターを持っていまして、フランスと一緒にやっておるわけですね。もうこれは何十年もやっているので、かつて昔はドンパチやったけれども、今は物すごく仲よく仏独もやっておるわけですよね。
 日本も今度PKOの訓練施設ができますが、きょう防衛省の方に聞こうかと思ったんですが、時間がなくなりましたので、ちょっとごめんなさい、申しわけないですが、防衛省の方に聞きませんが、そういう施設において、当面は座学が中心だということなんですが、ある程度、一時的にそういう専門的な能力を持った人が来て共同訓練をしていって、地ならしを国内でして海外への派遣に備えるという、これはぜひ日豪はやるべきだと思います。それを別に軍事同盟と呼ぶ必要は必ずしもないですから、そういうあたりから協力を始めるということについて、外務省としてぜひ御検討されればどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

○麻生国務大臣
 ちょっと役人にこの種のことを言わせるのは酷だと思いますので、私の方から。
 基本的には、今回のいわゆる人づくりということを予算を計上して今やろうとしておりますが、例えばPKO、PKFに関しましては、例えばオーストラリアとか、それから今言われました北欧の国々というのは、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、この三つだと思いますが、これは明らかにこの人たちは日本より経験が豊かであります。我々は、その点の経験の絶対量が不足しておりますので、いろいろな意味で我々が習うべきところは多いかと思います。
 いろいろな意味で、細かいところはいろいろあろうと思いますが、そういった人で、もう既に退役して民間になっている人だったらいいじゃないかというところからスタートするか、笠井先生、相当いろいろ御理解をいただかないかぬところだと思いますけれども。だから、そこのところは難しい問題をいろいろ抱えていると思いますけれども、やはり一緒にかまの飯を食ったり、いろいろなことをやっていくという方が、いざというときにぱっと行けるというのは、もうこれははっきりしておると思いますので、いろいろな意味で、この種のことは検討に値する御提案だと存じます。

○細野委員
 どこに出すかとか、どういうふうにやるかということは、日本の政治判断だと思うんですね。ただ、いざやったときにそこでうまくいくかどうかということについては、これは準備をするにこしたことはないわけですから、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。
 そろそろ時間もなくなってきたので、ちょっとはしょりながら聞いていきたいんですが、大臣に次にお伺いをしたいのが、これはちょっとEPAと関係なくて恐縮なんですが、カザフスタンとの、今回のウランの安定供給に対する交渉の問題なんですね。
 そもそも、それについての評価も簡単に触れていただきたいんですが、一つ私が注目をしておりまして、大臣にぜひ御見解をお伺いしたいのが、カザフスタンというのはウランの埋蔵量でいうと世界で第二位なんですね。オーストラリアの次ですから、これは大変大事。第二位なんだけれども、今まで日本にはほとんどウランを出してこなかった。そういう国でありますから、今回のこの合意というのは、最近の外交の交渉でいえば、かなりクリーンヒットのうちの一つだと思います。そういうふうに評価をしています。
 ただ、問題なのは、カザフスタンにはウランの採掘工場もあるし、成形加工工場というのもあるんですが、ウラン濃縮の施設はないんですね。ちなみに、我が国にもウラン濃縮の施設は、日本の国内供給の一割しかありません。ですから、実質的にこれは何を意味するかというと、カザフでウランを掘ったら、それは日本の国に直接持ってきてもほとんど処理できませんから、ロシアのウラン濃縮工場で濃縮されるということを意味するわけですよね。
 今の世界的な枠組みでいえば、ロシアにそこを依存するというのは、もちろんやむを得ないところがあるんですが、日本に限らず、この問題、非常に微妙な問題を実は含んでいるというふうに思っていまして、大臣の御見解を伺いたいと思います。
 一言、余分なことを申し上げれば、大臣は自由と繁栄の弧という演説をされていて、私、あの演説は文章を感銘深く読ませていただいて、こういう価値観外交みたいなことをやることに関しては必要性を認識しておるんですが、カザフスタンなんかはその大切な対象として大臣はとらえていらっしゃるんだけれども、その自由と繁栄の弧にはロシアは入っていないという状況の中で、ウランの問題についてはロシアに依存せざるを得ない状況をどのように外務省としては評価するか、お伺いしたいと思います。

○麻生国務大臣
 おっしゃるように、今回の交渉というのは、通産省、エネルギー庁としては久々のクリーンヒットというのは正しい、私もそう思います。
 これは、カザフスタンという国にとりましては非常に大きなものを意味したと思っておりまして、どうでしょう、中央アジアという、キルギスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、これを全部足しましても、GDPでいえば大体三重県ぐらいのものの大きさだと思いますが、このカザフスタンのウランというのが実際に動き始めますと、これはかなりなものになると存じます。
 したがって、かつてウズベキスタンの方のGDPはこうだったのに、今カザフスタンの方がウズベキよりかなり高くなった。四、五倍になっていると思いますが、そういった形までふえてきておるというのが現状でもありますので、その意味からいきまして、私どもは、今回のこのウランの話というのは、日本にとりましてかなりよかったと私は思っております、長期的には。
 それで、加えて、今言われましたように、二次処理というか、濃縮のところでロシアに頼るんですが、それから後のところになりますと、今度はこっちに、こっちというのは日本側に来ないと先はできませんから。おまけに、発電ということになりますと、原子力発電、今世界で六つありますうち、日立、東芝、三菱で三つ、それからウェスチングハウスが東芝、フランスのアレバが三菱、それからGEが日立ですから、もうほとんど日本の技術なしでは世界の安全な原子力発電というのはできないというのが実態だと思います。
 その意味では、そちらの部分は必ず日本というので、きちんとそこらのところの、出しますカザフ、濃縮するロシア、後のオペレーションは日本と、いろいろ複雑に入り組んでいるところでもありますので、どこか断たれるみたいな形で、一回どこかでチョーク、縛っちゃうというふうなことにならない状況になっておるところがもう一ついいところだと思っておりますので、ロシアにその点を押さえられると言っていることは事実だと思いますが、その他の部分は日本とかカザフとかそういったところが力を持っているというところで、そこそこ話し合いとしてはでき上がるのではないかと思っております。

○細野委員
 確かに、ウェスチングハウスをとったことも大きくて、技術力では非常に強いものを持っているので、そこだと恐らくロシアに対してもカザフに対しても、とにかく日本のバーゲニングパワーにはなると思うんですよね。そこはやはりきちっと押さえた上で、資源ナショナリズムがこれだけ高まっていますし、その中枢に今ロシアがあるのは間違いないですから、そこで振り回されることがないようにだけは、この交渉はヒットだと思うだけに、結果としてそうならないようにだけはしていただきたいということを最後にお願いさせていただきたいと思います。
 質疑時間が終わったんですが、ちょっと、あと一問だけ。
 簡単で結構ですが、ちょっと最後に嫌な質問で恐縮なんですが、天下りの問題。
 内閣府から指示を受けて、二回目以降の再就職のあっせん、いわゆるわたりのあっせんですね、これをそれぞれ省庁、調べろという指示が出ていて、外務省も結果を出しているんですが、外務省の調査結果はゼロなんですね。私が知っている限り、外務省の大使経験者の方なんかは、もちろん皆さん能力もおありなんだと思うんですが、相当優良なさまざまな職業についていらして、私は、二度目のあっせんも外務省は当然してきたんだろうというふうに思っていましたので、極めて意外でした。
 確認ですが、この調査期間の三カ年間で、本当にわたりのあっせんを外務省はしていないんですか。それとも、調査中でゼロ件というふうに出たんですか。確認をさせていただきたいと思います。

○塩尻政府参考人
 お答え申し上げます。
 報告書に公表されたとおり、外務省についてはございませんでした。

○細野委員
 わかりました。
 これは委員会の場所を変えてまた天下りをやりたいと思いますので、そのときにやらせていただきたいと思います。
 非常に丁寧に御答弁をいただきまして、きょうはありがとうございました。終わります。